日本を学ぶ

映画 MINAMATAーミナマター

23日に一般公開された映画「MINAMATAーミナマター」を観ました。https://longride.jp/minamata/

映像が美しい。場面転換のテンポが心地よい。言葉が一つ一つ余韻を持ち、広がり、物語に強く引き込まれ、心が動く。

ジョニー・ディップが製作と主演を兼務、とても良い仕事をしています。元妻のアイリーン・美緒子・スミスさんが、「『ユージン・スミス本人がいる』と思えた瞬間があった」と語っておられますが、ユージン・スミスの抱えた苦しみや葛藤(第二次世界大戦時の体、心の傷に苦しめられていること、家族とうまくやっていけないことなど、そして水俣での様々な出来事の中での心の動き、など)が直に伝わってくる印象がありました。

他の出演者たち(実力派揃い)も抑制を効かせた、しかし強い気持ちのこもった演技だったと思います。映画の冒頭、「事実をもとにした『物語』である」と断りがあるとおり、時系列などで実際とは違うところがあるようですが、「記録」が真実を表すとは限りません、むしろ、ことの本質をあらわすためには、「物語」の方が適切で、強く見聞きする者の心を揺さぶるのかもしれません。

2021年地元有志による実行委員会が「水俣病に関わってきた方たちだけでなく、これまで水俣病に距離を置いていた方にもこの映画を純粋に観てもらいたい」また、「この映画を観ていただくことで、市民の皆さんにも、みんなの力で美しく再生した水俣を改めて感じていただけたら」と先行上演会を企画。しかし、7月水俣市はこの映画の先行上演会の「後援」を断ったそうです。市長からは「映画の中身がわからない状況の中で地元の市長として安易に後援をすることは難しいという考えだった」と説明がありました。「ミナマタ」というレッテルを貼られることで差別されてきた経験を地元の人々はしてきた、その経験からの拒絶感もあったようです。一方で熊本県は「多くの人に関心を持ってもらい、歴史や教訓を学んでもらうきっかけになる」などとして承諾しました。

戦争や事故や公害や病による被害が「地名」と結びつくことにより、差別を生み、そこに住む人が二重の被害を受けることになる、ということは、「ヒロシマ」「ナガサキ」でもあり、また東日本大震災での「フクシマ」でもあり、またコロナ禍における菌の名付けにもありました。

「しかし『隠す』というやり方では、決して物事は良い方には解決しない・・・」当事者でない者がそれをいうのはあまりにお気楽なのかもしれません。自分がその立場になった時に『隠さない』のか?

ユージン・スミスも、水俣病の被害にあった人々の写真を撮影させてもらえるようになるまで時間がかかりました。はじめ、彼は、写真家として空気を吸うようにカメラを人々に向けていましたが、それは傲慢な態度だったとだんだん気付いていきます。人々に頭を下げて、写真を撮らせてくださいとお願いし、人々がしばらくの間を置き周囲をみながら手を挙げるシーンは心に沁みました。この人々は困難を超えて会社と交渉を続けている人たちなのです(彼らの背後には会社の圧力や懐柔・世間の目の冷たさに交渉さえしていない人々が多くいる)。そんな彼らでも、写真を撮られることには大きな抵抗・葛藤がある。

水俣市が「後援」を断ったことは正しい行為だとは思いません。しかし、それは、まさに、まだ水俣病問題が解決していないことを「証明」する行為だと思います。

チッソの後藤舜吉会長は2010年の社内報で、特措法による分社化によって「水俣病の桎梏(しっこく)から解放される」と記し、安倍晋三首相は2013年10月の水俣条約の外交会議のビデオメッセージで「水俣病による被害を克服した」と世界に発信しました。映画のテロップにもありましたが、それは、真っ赤な嘘、あまりにも軽い言葉です。

映画の中で、國村隼演じるチッソの社長が『病にかかった人の数は「ppm」なのだ』といい、ユージン・スミスに大金を渡して手を引くように迫るシーンがあります。大勢の利益のために「ppm」の出来事は見捨てる、2010年、13年の上記の発言はそういう考えが連綿と続いていることを示しています。

でも「ppm」=ひとりが、繋がり、諦めないで発言することで世の中が変わったことも事実です。映画について沢山のメディアが取り上げ、発信しています。その中で、ユージン・スミスの元妻のアイリーン・美緒子・スミスさんが、田園調布学園で行った講演会の記事が印象に残りました。彼女は高校生たちに「どこかの誰かたちが頑張ったから、自分のいますごくいいことがあるんだなという感じ」と伝えました。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87527?imp=0

この映画を制作・主演したジョニー・ディップはじめ、この映画に関わった多くの人々に感謝の意を表したいと思います。

ちょうど今朝の朝日新聞にも記事が・・・

2021・9・26(日)私は真田広之さんがかなり好きで、今回久々にお会いできた(一方的にですが)のはとても嬉しかったです😊。真田さんもジョニー・デップについて語っておられます。https://www.oricon.co.jp/news/2206744/embed/video/

また加瀬亮さんも大好き・・https://www.youtube.com/watch?v=ywcfXUFHQkA

 

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英語学習・音楽制作・WEBデザイン・体質改善など、色んな『まなび』と『教育』をテーマにnelle*hirbel(通称ねるひる)を中心に学びクリエーターチームで情報を発信しています。 YouTubeチャンネルでは、音楽×英語の動画コンテンツと英語レッスンを生配信しています。

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