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甦る天平の色「紫の物語」〜吉岡幸雄 

今朝6月1日の朝付けっ放しにしていたBS3で思わぬ番組に出会いました。『甦る天平の色「紫の物語」』

京都染司「よしおか」の5代目吉岡幸男さん。京都伏見にある工房で最も大事にしているものの一つが江戸時代の端切れを集めたコレクションです。このコレクションを元に昔の色を再現してきました。中でも、1200年前の正倉院の倉にかつてあった濃い紫色の裂(キレ)、「正倉院裂」が吉岡さんの一番のお手本。奈良時代の貴族の衣装のきれはしです。この紫はかつて聖徳太子によってもっとも高貴とされた色です。この色を目指して吉岡さんは長い時間を旅しました。

延喜式によると、古代紫は紫草(絶滅危惧種)から染められていました。吉岡さんはその産地を探し、1200年前の記録に紫草を税として納めた、とあった大分県竹田市に行き当たりました。この土地でもすでに紫草の栽培は長い間行われていませんでした。そして吉岡さんは農家の人々と協力して紫草の栽培に乗り出しました。紫の縁の土地として竹田市の農家さんたちは協力を惜しみませんでした。

現代に蘇った古代の紫草は白く可憐な花を咲かせます。染色に使うのは根の部分。雨に濡れてしまうだけで枯れてしまうなど、路地ではできないデリケートな植物。十分な量が出きるまで10年かかったそうです。種を蒔いても芽が出ない、雨に当たってもダメ、大変な苦労の末に11月ごろ古代紫草の根が収穫されます。

その古代紫草の根を、熟練の染め職人福田伝士さんが染め上げます。

石臼で丁寧に潰した根を袋に入れ、50度の湯を注ぎ、余すことなく色を取り出すために繰り返し揉み込みます。紫の色素はとてもデリケートでその日の気温や湿度によって変化するそうです。色々の失敗を繰り返しながら、「天然染料に関しては誰にも負けなくない」という気持ちで、美しい色を作り出す福田さん。ちょっとした加減で赤紫になったり、変化していくそこがまたいい、と。

紫を再現した吉岡さんは、東大寺と協力して天平時代の衣装の復元を行います。様々な染色技術を駆使して蘇らした伎楽の衣装60着。正倉院宝物やシルクロード文化を元に再現、その豊かな色彩に驚きます。

天平の奈良時代の色に近づいたら嬉しい、でも叶わない。輝く美しさを持つ色を、さらに追求したい最高の紫を求める人々の姿が、美しいと感じました。

そんな苦労の末に出された色の服が、あんな安っぽい売り方をされるはずがない・・・のにbigbigtown,comの宣伝に乗っかってしまった自分が恥ずかしいです。

この番組「甦える天平の色」は「茜」「紅」「藍」と金曜日まで続くようです。BS3朝7時45分からです。

「よしおか」さんのサイト、紫のゆかり「吉岡幸雄の色世界」https://www.sachio-yoshioka.com/

では悪質サイトにお気をつけください。という記事もアップされていました。https://www.sachio-yoshioka.com/2020/0717.html

2021・6・1(火)

参考)細見美術館 「吉岡幸雄の仕事と蒐集 日本の色」について

源氏物語を巡って〜色と絵画〜細見美術館と中之島香雪美術館吉岡幸雄の仕事と蒐集・日本の色展(細見美術館) 源氏物語の絵画展(中之島香雪美術館) どちらも見応えがありました。源氏物語を巡って多くの人々が心血を注いで仕事をしてきた、している。源氏物語の魅力は現代の私たちに通じる人の姿の真実にあると思います。...
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たつこ
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今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねて今に至ります。心理し(士・師〜〜この二つの「し」の違いは何だろう?)です(臨床心理士・公認心理師)。喜びも多かった教員経験の中、一方で、えも言えぬ息苦しさも感じ、心理しの資格をとって、今は相談活動を行なっています。
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