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ことばの教育を問いなおすー国語・英語の現在と未来 ちくま新書

このサイトでは、英語の力を皆さんにつけてもらいたい、ということが一つの柱になっています。また同時に、「自分の頭で考える」こと(大変難しいことです)の大切さも伝えたいと思っています。

そこで、まずご紹介したい本が「ことばの教育を問いなおす〜国語・英語の現在と未来」ちくま新書(2019年12月10日初版)です。


著者は3人。3人が書き言葉で対話していく形で構成されています。

鳥飼久美子さんは、同時通訳者として活躍された後、大学の先生になられた方です。現在は、NHK「世界へ発信!SNS英語術」の講師をされています。

苅谷夏子さんは、大村はま記念国語教育の会事務局長。大村はまさんという偉大な国語教師に中学時代に出会い、はまさんの考えや実践を伝える活動をなさっておられます。

苅谷剛彦さんは、オックスフォード大学教授、教育社会学者です。「問題含みの教育改革」が繰り返される日本の現状について、「日本の近代化」のあり方から検証、「本当の主体性」を育む教育のあり方について提言を行っておられます。

この本の中では「『ことばの力≒考える力』という関係」が強調されています。

「大村はまの教室で手に入れたものはコンピューターで言えばOSだ。」という教え子の言葉が紹介され、「ことばの力」を手に入れることは、様々なソフトウエアやアプリを使いこなす優れたOSを持つことと同じなのだ、という着眼点が示されます。「ことばの力」を手に入れることで「考える、学ぶというオペレーションの基本システム」が構築されるのです。

「何のために、英語を学ぶのか」という問いにも同じ答えが導かれます。「就職、出世のために有利だから」と考える若い人も多いと思いますが、英語を学ぶことで「考える力」を手に入れることができると、新たな地平に向かうことができるのです。徹底的に「読む」力を身につけることこそが、「書く力」「話す力」へと繋がり、また「思考力」が鍛えられるのです。

70年前に作られた欧州評議会は、「民主的な市民性(democratic citizenship)のために教育は不可欠であり、文化の差異を相互理解に深めるために複言語主義が必須である」という理念のもと、CEFR(ヨーロッパ言語教育参照枠)を作り上げました。その目的と理念を理解しないまま形式だけ取り入れようとしている入試改革に対し、警鐘が鳴らされます。

「おわりに」で鳥飼さんは次のようにまとめておられます。

《「ことばの力」が大切なのは、それが「考える力」と深く密接な関係にあるからで、表面に現れる「ことば」の基底に存在する「考える力」をどのように育てるのか、それを追求するのが教育である、と確認したのが、本書の結論と言えるかもしれません。》

 

「まなびもん」の中でも、試行錯誤を繰り返しながら、「考える力」を身につけていけたらいいな、と思っています。

 

 

 

 

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manabimon
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英語学習・音楽制作・WEBデザイン・体質改善など、色んな『まなび』と『教育』をテーマにnelle*hirbel(通称ねるひる)を中心に学びクリエーターチームで情報を発信しています。 YouTubeチャンネルでは、音楽×英語の動画コンテンツと英語レッスンを生配信しています。

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