manabimon(まなびもん)

本)非正規公務員のリアル 日経新聞)4分の3が女性「将来に不安」9割

2020年4月から非正規公務員の9割にあたる約62万人が会計年度任用職員に一本化されました。そのうち女性が8割を占めます。目的は非正規公務員の処遇改善でしたが、処遇改善には程遠いのが実情です。

総務省の調査では4分の1の自治体が「制度改正前よりも給与水準が下がった職種がある」と回答。総務省は改正法の趣旨徹底を図る通知を出していますが、国も自治体も通知を守る意識は低く、むしろ非正規公務員の処遇については逆行しています。

公務員の非正規化は、相対的に賃金の低い女性への依存を前提に進展してきました。「高い専門性を要する基幹的業務も非正規が担っており、現状でも最低賃金に近い水準だ」と行政自身が認めています。

自治体が「財政の健全化」と「行政サービスの多様化」という二律背反する役回りを迫られる中、そのしわ寄せは非正規の大半を占める女性らに向かいます。「公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)」が4〜9月に行った調査では94%が「将来に不安がある」と回答しました。

職務に対して公平な評価がなされていないまま、低待遇・孤立の中に取り残されている女性たちの姿が浮かび上がる記事です。そして、記事の最後のコメントに、労働組合の非正規への取り組みを「道半ばのだいぶ手前」と連合の会長が率直に認めていることが書かれています。(日経新聞2020年9月20日(月) 21面女性欄)

現在私自身も非正規公務員として働いており、その処遇には怒りを覚えることが度々あります。しかし、私には、前職において、非正規の「講師」の方々に大変お世話になりながら組織の「隙間」を埋めてくださるその重要な方々の待遇大改悪に対して、何もできない、しなかった、という経験があり、それが今の自分に返ってきている、と感じます。

更に、昨年度4月からの会計年度職員導入に便乗した待遇改悪。その現実を上記の記事はわかりやすくまとめてくださっています。ただ、これが「女性欄」にしか掲載されない事実、つまり、男女関係ない全体の問題とされていない、ことが残念です。

様々な場面での非正規公務員の置かれた状況をまとめたのが、上記の記事にも登場する、地方自治総合研究所の上林陽治さん著「非正規公務員のリアル〜欺瞞の会計年度職員任用制度」です。(https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8481.html

各章の題を並べていくだけで、現状の非正規公務員の置かれた状況が、浮かび上がります。

1)ハローワークで求職するハローワーク職員  2)基幹化する非正規図書館職員  3)死んでからも非正規という災害補償上の差別  4)生活保護を受給して教壇に立つ非常勤講師  5)エッセンシャルワーカーとしての非正規公務員〜コロナ禍が晒す「市民を見殺しにする国家」の実像  6)自治体相談支援業務と専門職の非正規公務員  7)非正規化する児童虐待相談対応  8)生活保護行政の非正規化がもたらすリスク  9)相談支援業務の専門職性に関するアナザーストーリー  10)拡大する官製ワーキングプア 11)隠蔽された絶望的格差  12)欺瞞の地方公務員法、地方自治法改正  13)不安定雇用者による公共サービス提供の適法化  14)失望と落胆の会計年度職員制度  15)女性活躍推進法と女性非正規公務員が置かれた状況  16)女性を正規公務員で雇わない国家の末路

「人と直接会い、やりとりし、相手のおかれた状況を理解しながら知識や経験をフル活用してその人のためになる仕事をする」ような仕事が不当に低く評価され、「管理する」仕事ばかりが優遇されている現状。社会は「正当に評価されるべき仕事」について本気で見直す必要があり、その機運もあります。

正当に評価されるべき仕事とは何か、について考察したデヴィット・グレーバー著「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」〜〜を次に読んでみたいと思っています。この本は2021年紀伊國屋じんぶん大賞に選ばれ、多くの共感を得ているそうです。

『やりがいを感じないまま働く。ムダで無意味な仕事が増えていく。人の役に立つ仕事だけど給料が低い――それはすべてブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)のせいだった! 職場にひそむ精神的暴力や封建制・労働信仰を分析し、ブルシット・ジョブ蔓延のメカニズムを解明。仕事の「価値」を再考し、週一五時間労働の道筋をつける。『負債論』の著者による解放の書。』と紹介があります。

https://www.iwanami.co.jp/book/b515760.html

2021・9・26(日)