自分と向き合う技術

ヒューマニエンス・怒り ヒトを突き動かす炎・・右手を握っちゃだめ

ヒューマニエンス40億年のたくらみ、今日のテーマは「怒り」。昨日怒ったばかりのわたし、見逃せません。

怒りを溜め込むのは人だけ。怒りという感情こそ人という存在を人たらしめ、複雑な怒りが社会を作り上げてきた。(名古屋大学、川合伸幸さん)

もともと相手との間で平和的共存を保ち、認め合うために使われてきたのが怒りなのだが、相手を抹殺することに使われてしまっている。(総合地球環境学研究所 山極壽一さん)

元新聞記者稲垣えみ子さん(彼女の記事面白かったです)が登場。稲垣さんも、司会の織田さんも、若い頃に比べて今は怒らなくなったそうです。

心理学・比較認知科学の立場から怒りを研究している名古屋大学教授川合さんは、「怒りとは一番エネルギーを使う感情」といいます。怒っているときは身体中に酸素をいき渡らせて戦闘体制に入っているのです。そもそも怒りはすべての動物(縄張り争い・配偶者を守る時)に起こるもので、脳の扁桃体=原始的な部分で感じます。しかし、脳の前頭前野が進化した「ヒト」は、他の動物とは違う独自の「怒り」を持つようになったそうです。

実験で、イライラしている時、前頭前野は活発に動き出します。前頭前野は扁桃体で怒りを感じる前に動いて「怒りのブレーキ役」をします。しかし、一方で正反対の「アクセル役」もします。前頭前野は未来を予測する働きも持っており、これからうまくいかないかもしれないという予測を行うことで「アクセル役」を行うのです。前頭前野は腹が立ったことに対して物語にして記憶として残し、厄介な火種として扁桃体の怒りを一層焚き付けてしまうという働きもします。前頭前野は二十歳くらいまで時間をかけて完成されていくそうです。若い頃人が怒りやすいのは前頭前野が未発達でブレーキが効かないからなのです。

人が怒りの感情に陥りやすい九つの状況。「生命や身体を守る時。家族を守る時。友人を守る時。自分の居場所を守る時。属する集団を守る時。秩序を守る時。資源を守る。侮辱された時。移動できない時。」怒りの感情はどんどん広がります。

社会秩序を守るための怒りは最も人間らしい怒りです。玉川大学高岸さんは、「第三者視点で怒ることがヒトだけの持つ感情だ」といいます。実験で不公平な分配に対して、利害関係の全くない第三者なのに、怒りの感情を表現する被験者。群れの中で暮らしていた「ヒト」はズルを許すことはできない、という感情を植え付けられ、規範を生みだしました。第三者の怒りは進化の過程で生まれた特殊な感情です。司法は第三者が不正=公平からの逸脱、を罰する制度です。

怒りには社会を変える「エネルギー源」です。しかし、現代、怒りが溢れている場所があります。「インターネット」です。人を叩くネガティブな怒り。

霊長類は、共存し合うために「怒り」を発するのです。怒りの後ハグして和解します。ゴリラは対等な関係を認める、チンパンジーは上下関係を認める、ために和解します。霊長類の怒りは長引きません。その時限り。人類は定住し作物を栽培し、縄張りを拡大しました。その時仲間と結束して艱難辛苦に立ち向かう、という共感力が、仲間でない敵に対する怒りを強くし、相手の集団を貶め、たたかうようになりました。もともとネガティブなものでなかった怒りの感情を、人間は相手を抹殺してもいい、というネガティブなものに変えてしまった。(総合地球環境学研究所 山極壽一さん)

怒りは自己主張なのです。怒りをコントロールすると、自分の考えをうまく相手に伝えられる。「よく喧嘩するカップルほど長続きする」「面と向かって怒り合う方が分かり合える」といいます。怒りに「愛」があると着地できるけれども、生の怒りは人を傷つける。

怒った時右の拳を握る・・・よくありますよね。これダメなんだそうです。被験者をわざと怒らせる実験(迷惑ですね)で、消費税について自分の意見を書いてもらい、脳波を計測、モニターの前で待機してもらう。カメラ越しに被験者の書いた文章を批判する意見(あらかじめ用意したもの)をいう学生。被験者は平静を装いつつ左前頭前野が活性化しており、かなり怒っている様子が伺えます。この時右手を握ると怒りがさらに活性化されるんだそうです(左利きの人についてはよくわかっていないそうです)。

脳は体の状態に騙されるのです・・・うまく脳を騙せ、というのです。左手を握る、寝転ぶ。川合さんの一番オススメの怒りをしずめる方法は、怒りと自分を切り離すこと。先ほどの実験で怒っていた被験者は「怒りの感情を具体的な内容で紙に書き、しばらく眺め、紙を丸めてゴミ箱に捨てる」という動作で怒りがしずまりました。「話す」のではなく「書く」ことの方が論理的に整理できて効果があるのです。

今は、ゴミ箱に捨てるのではなくてSNSに投稿する人が多いのではないか、と稲垣さん。それに対する対策は・・・川合さんの案は、織田さん稲垣さんによってあえなく却下。SNS、なかなか面倒ですね。

https://www.nhk.jp/p/ts/X4VK5R2LR1/episode/te/G57Z2GK877/

2021年9月30日(木) 早くも9月が終わります。我が家の朝顔は昨日突然10個咲きましたが今日はゼロ、蕾ももうなさそう。そろそろ植え替えの季節、桔梗と撫子を植えました。怒りは消えた・・・かな。

ABOUT ME
たつこ
たつこ
今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねて今に至ります。心理し(士・師〜〜この二つの「し」の違いは何だろう?)です(臨床心理士・公認心理師)。喜びも多かった教員経験の中、一方で、えも言えぬ息苦しさも感じ、心理しの資格をとって、今は相談活動を行なっています。

POSTED COMMENT

  1. アバター つきのみやこ より:

    とても面白い番組紹介ありがとうございました。
    理不尽なことに対する怒りは大事
    でもそれが自分や他人を損なってはいけない。
    Snsの使い方難しいです。

    書いて捨てる、正解と思います。
    どこに感情のはけ口を見いだすか、捨て場をどこにするか。路上にごみを捨てるみたいにあちこちに撒き散らせばいいもんじゃないだろうと思ってます。

    友人や家族同士でさえ難しいですね。
    だからカウンセリングや告解なんて技術ができたんでしょうね。

    モーニングページというやりかたがあって、これは技術として面白いと思っています。
    日記とも違うんです。
    書くことの効用をかんじさせられます。

    • manabimon manabimon より:

      モーニングページ、一言で言ってしまうと「毎朝起きてすぐに3ページ書く」のですね。「何も考えず浮かんできたことを3ページ書く」ことで変化が起こってくる・・・。
      私の今やっている朝起きてすぐのルーティーンは「花の水やり」「体操・ヨガ」など体を動かすことです。「朝散歩」もいいと言いますがなかなか実行できません。自分に合う「よいこと」が見つかるといいですね。

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