1年前「壺のような日〜風と金木犀とイソヒヨドリ」という記事を書きました。1年が経ち、金木犀の香り(今年は遅かったように感じます、朝日新聞の天声人語で金木犀の香りが〜と書かれてから半月以上経ちます)が漂い、イソヒヨドリが囀り、また八木重吉の詩を思い出します。
そんな今日、NHKの「ダーウィンが来た!」では、「幸せを運ぶ青い鳥」=「イソヒヨドリ」を取り上げてくれました。「磯」で暮らしていた「イソヒヨドリ」が、内陸の八王子市で見られるようになってから25年、八王子でのイソヒヨドリの暮らしぶりを丁寧に描いていました。
高いビルの換気口、家の軒などを利用して営巣し、懸命に子育てをするイソヒヨドリのつがい。親鳥は、虫や木の実(雑食なんだそうです)をせっせと運び、雛に食べさせます。そして、親鳥は、雛の出す白い糞をせっせと外に運びます(匂いで外敵が巣に来るのを防ぐためだそうです)。
大きくなった雛が巣立ちの準備を始める時期になると、親は餌を雛に簡単にはやりません。そして巣立った雛を待ち受ける試練・・・都会では約半数の雛鳥が、カラスや猫の餌食になってしまう・・・厳しいですね。
イソヒヨドリの美しい複雑な囀りは広い音域を持っており、都会の雑踏の中でも良く響くそうです。これがイソヒヨドリが都会で繁殖している大きな理由だそうです。
海辺の環境が変わり、高い崖が少なくなったこともあって、都会へと移り住んできた「イソヒヨドリ」。人間の営みに翻弄されながら、外敵にさらされながら、それでも力強く生きているのですね。一層この鳥が好きになりました。
イソヒヨドリは春から夏の繁殖期に、雄が雌に「豊かな抑揚と複雑な音程(tenki.jpより)」の絶妙の囀りを届けます。一方、危険を知らせる「ケケケケ・・・」という鳴き声など様々な鳴き声も出すそうです。そして雌も囀るそうです。人の少ない海岸地帯から移り住んできたせいか、あまり人を恐れることなく、それで私たちの目に触れることも多いのだとか。特に雄は一目でそれとわかる姿ですので見つけやすいですね。雌がヒヨドリに似ていることが「イソヒヨドリ」と名付けられたそうですが、ヒヨドリとは種類が違い、「ヒタキ科」に属し、「ルリビタキ」「キビタキ」などと同様美しく囀るそうです。
繁殖期以外でも天気の良い日にはイソヒヨドリの囀りを聞くことができます。我が家でも良く耳にします。青い空、白い雲、イソヒヨドリの囀り、気持ちよく吹き込む風。
そんな風に乗ってくる金木犀の香りに気づくと秋本番。秋になると、なぜか八木重吉の詩を読みたくなります。
矜持ある 風景 八木重吉 (詩集「秋の瞳」より)
矜持ある風景
いつしらず わが
こころに住む
浪(ろう)浪 浪 として しずかなり
むなしさの空 八木重吉 (詩集「秋の瞳」より)
むなしさの ふかいそらへ
ほがらかにうまれ 湧く詩(ポエジー)のこころ
旋律は 水のように ながれ
あらゆるものがそこにおわる ああしずけさ
2021・10・11(日)