manabimon(まなびもん)

国宝 東京国立博物館のすべて

東京に行く用事があり、今開催中の「国宝展」のチケットを予約しました。国立博物館の国宝が全て見ることができる・・・すごいことですよね。

上野の公園は美しく紅葉しており、人々がたくさん集まっていました。皆楽しそう。予約時間11時半〜12時半のちょうど真ん中に行ったせいか、並ぶことなく、平成館に入ることができました。

いきなり、絵画のコーナーで、狩野永徳の檜図屏風が目に入ります。どか〜んとした存在感。https://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A1069

次に、岩佐又兵衛の洛中洛外図屏風(舟木本)。多くの人だかりがしています。どれだけ時間をかけてこれを作ったのだろうと思う細かさ。丁寧さ。

https://wanderkokuho.com/201-11697/

沢山の展示品それぞれに力があり、圧倒されます。書跡のコーナーでは古今和歌集(元永本)の美しさに息を呑みました。紙の美しさ、文字の美しさ、本の美しさ・・その小ささにも驚きました。(おそらく20ページが展示してありました。)

https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=&content_base_id=100171&content_part_id=000&content_pict_id=000

ちょうど、高樹のぶ子さんの「伊勢物語 在原業平恋と誠(日経プレミアシリーズ)」などを読んだ直後だったこともあり、強く魅かれました。業平が藤原高子に恋をし、高子もそれを受け入れた。彼女は清和天皇、妃となることを運命づけられていました。強い意志を持った彼女は15歳の時、まだ9歳の清和天皇の即位の祝いの五節の舞を舞った時に、その個性で天皇を驚かせたといいます。

伊勢物語では業平が高子と駆け落ちした時の様子を「芥川」の段で描写しています。美しい文章です。業平の背で「あの白く光るものはなあに?」と聞いた夜露を知らない姫は、結局鬼(兄たち)に寄って連れ去られてしまいます。

高子は25歳で入内、陽成天皇を産みます。国母となった高子は、業平の歌の道を支援します。高子が主催した歌会に業平が招いた人々は後に六歌仙と呼ばれ、古今和歌集の中心人物となるのです。

しかし彼女の生んだ陽成天皇の子どもたちは、その後天皇となることはありませんでした。陽成天皇も謀略にあって天皇を退位させられます。それは高子と兄基経との関係が悪かったからだといいます。自分を持駒のように利用するだけの兄に対して彼女は自分自身を主張したのです。そんな彼女は、880年に業平が死んだ後16年後、896年に東光寺座主と密通した疑いにより皇太后を廃されてしまいます。後の世に陽成天皇系の天皇が出ることはありませんでした。

古今和歌集は905年醍醐天皇の勅命により作られました。その完成の陰に高子の甚大な影響があったのです。業平と高子の恋は実ることはなかったけれど「もっと大きな文化の実りを日本にもたらした(高樹のぶ子さん)」のです。

東洋絵画、東洋書跡、法隆寺献納宝物、考古、と、どのコーナーも充実、特に、漆工のコーナーでの、八橋蒔絵螺鈿硯箱(尾形光琳)はやはり出色の美しさでした。

https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100196&content_part_id=0&content_pict_id=0

刀剣のコーナー、人気でした。展示数も多く、また若い人が熱心に見学しているのが印象に残りました。第二部の東京国立博物館の150年がまた面白い。鈴木長吉さんの鷲置物の精巧さに目を見張りました。

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/188012

松方コレクションの浮世絵たち、そして最後に出会うとは・・・の遮光器土偶。何年か前の縄文展以来です。

https://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=J38392

麗子ちゃんにも挨拶できて・・・

https://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A10568

この度、修復された12世紀平安時代の金剛力士立像は撮影可能でした。

はじめに、「見学は90分以内にしてください」と張り紙がしてあって、無理だろ、と思ったのですが、逆に90分以上見続けることが体力的に無理でした。とはいえ、お土産を物色した後に少し休むと、むくむくともっと見たい気持ちが・・・

平成館の1階にある考古館を覗くと、ガラガラでしかもすごいものがゾロゾロある。江田舟山古墳出土品には興奮しました。

https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100199&content_part_id=0&content_pict_id=0

充実の東博でした。この後、日を変えて、総合文化展(本館と東洋館)を回りました。

これまた充実の展示で1日ではとても網羅できません。その中で特に「未来の博物館」での洛中洛外図屏風の解説が面白かったです。

https://www.atpress.ne.jp/news/326713

幅約10メートルもの超高精細大型ディスプレイに映し出される洛中洛外図屏風の世界。「食と享楽」「美と芸能」「歴史と文化」というテーマで、土井善晴さん〔料理研究家〕、伊集院光さん〔タレント〕、IKKOさん〔美容家〕、林家正蔵さん〔落語家〕、磯田道史さん〔歴史学者〕、山崎怜奈さん〔タレント〕が見所を語ってくれます。ここも写真撮影が可能で、気になったところを撮影することができました。

食べる男

作る男

誘う男と満更でもない女(男が女の尻をつかんで誘うんだそうです

ずっと立っていないといけないのが辛かったけれど、約30分十分に堪能しました。

東博、1日では勿体無い、泊まりがけで2〜3日かけてじっくりご覧になることをお勧めします。

2022年11月24日(木)昨日の雷雨とうって変わってとても良い天気でした。洗濯日和、嬉しいですね。