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間中ムーチョ展@十三第七藝術劇場

12月16日と26日、十三にある第七藝術劇場に「間中ムーチョ展」を観に行って来ました。素敵な作品に出会えました。http://55muutyo.jugem.jp/

間中ムーチョさんは、茨城県出身の絵本作家、アーティスト。

絵本『ぬかどこさま』で、2017年有田川町絵本コンクールで最優秀賞受賞。https://www.d-library.jp/aridagawa_lib/g0102/libcontents/search/?sbtn=link&in=02&ny1=%E9%96%93%E4%B8%AD%E3%80%80%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A7

絵本『MOUNTAIN』で、2019年イタリアボローニャ国際絵本原画展に入選。この原画をベースに素敬SOKEIパブリッシングより絵本『にんげんさまへ』が出版されました。

https://honto.jp/netstore/pd-book_29973405.html

http://economics-of-happiness-japan.org/muutyo_book

ムーチョさんの描く海は、嘆き、悲しんで、人間たちに語りかけます。「にんげんさまは あぶねえと にげられるけんどもよ おれたち山はにげられんねぇぞ。おれたち山はどうしたらいいんだべか?」と、怒ります。

ムーチョさんは、原発事故以来、自宅の庭に生きる水仙やタンポポ、梅の実や、マツボックリなどの形が事故以前と違う形に変化したことに気づきました。植物たちの「ここはもう以前とは違うんだよ」というメッセージを受けて、避難を決意し、関西にやってきます。

「『にんげんさまへ』を描かなかったら、私は気が狂っていたと思う。この絵本を描くことで、山になり、海になり、土になって、自分を保ち続けることができた。同時にそれは、山や海、土たちに抱いた罪悪感に向き合うことでもあった。苦しかった。」

「なんにも しんぱい いりません」「にんげんさまよ ほんとうけ?」と絵本の中で山は疑います。心配いらないはずはない。

「山の声を届けたいと思って描きはじめたけれど、どれは傲慢だったと反省している。私も人間の一人なのだから。『にんげんさまへ』を読んで、山や海や土たちや、地球や、暮らしについて、みんなでお喋りしてもらいたい」とムーチョさんはパンフレットに書いておられます。

私は彼女が関西に移住して後に、ムーチョさんと出会いました。彼女の内から湧き上がってくる創作の力の強さを眩しく見てきました。『ぬかどこさま』『にんげんさまへ』どちらも素晴らしい絵本です。

ムーチョさんの描く海や山や土は、ずっと悲しんでいました。時間を経ても、汚れた自然の悲しみが癒えることはないのです。しかし今回の展示は少し趣が変わっていました。

展示の「海」からは太陽が登り、海が光になり、光の道が続いています。そして作者の言葉が続きます。

「2011年の福島の原発事故から私はずっと泣き続けている海しか描けなくなってしまいました。ボローニャ入選作の『にんげんさまへ』の中でも、海は泣いています。でも今年の11月、宝塚市の子ども達が描いた10メートルの長さの『みんなの川』に出会うことができ、この川をおむかえしたい!おむかえするには笑った海がおむかえしたい!とおもい、6メートルの大きさの笑っている海、『みんなの海』を作ることができました。それからこんなに光とともに笑っている海を描けるようになりました。私は海が大好きです。12月10日間中ムーチョ」

この展覧会は海月文庫の展覧会『字を書く4・わざわざ字を書く』(12月18日まで)、

1月16日から22日までの『合同展 テーマ「一」』のとコラボしています。こちらも魅力的。https://www.kuragebunko.com/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/

素敵な展覧会でした(2021年1月31日まで)。また、ナナゲイではとても素敵な映画を上映しています。私は「スパイの妻」を見たいと思っています。

「なんにも しんぱい いりません」「甲状腺癌との因果関係は証明されていない」「地元の希望があり、帰還困難区域に、除染をしなくても避難指示を解除できる仕組みを導入することに決めました。」

嘘を重ねる政治が重ねられていきます。もういらない、と思います。

2020.12.28 今日は掃除日和でしたね。月も綺麗です。

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たつこ
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今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねていまに至ります。

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