趣味の園芸、始まりました。今日はナデシコ。家持君が登場しました。「石竹花(なでしこ)が花見るごとに少女(をとめ)らが笑(え)まひのにほひ思ほゆるかも」が紹介されました。万葉集にナデシコは26首うち11首が家持の歌、家持の愛した花です。
大阪鶴見区の咲くやこの花館(古今和歌集仮名序の「難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花 王仁」から名付けられたそうです)の館長久山敦さん(野生植物の専門家)が登場しました。ナデシコは300種、北半球に分布しているそうです。その中で万葉集に歌われたナデシコは「カワラナデシコ(大和撫子とも)」。家持の歌では、種を蒔いて増やしたと歌われていますが、おそらく種をまいて増やした初めての花ではないか、ということです。
そのほかにも「シナノナデシコ」
「ハマナデシコ」
「エゾカワラナデシコ」
などが万葉の時代からあったと考えられているそうです。カワラナデシコは今どんどん減っていますが、伊丹市猪名川沿いでカワラナデシコを20株から増やしている有志の方々がいて今は2000株もの美しい姿、ほのかな香りが楽しめるそうです。感謝ですね。
万葉集に歌われたナデシコ
庭中の花に作れる歌一首併せて短歌
大君の 遠(とお)の朝廷(みかど)と 任(ま)き給ふ 官(つかさ)のまにま み雪降る 越(こし)に下り来 あらたまの 年の五年(いつとせ) 敷栲(しきたえ)の 手枕(たまくら)まかず 紐解かず 丸寝をすれば いぶせみと 情慰(こころなぐさ)に 石竹花(なでしこ)を 屋戸(やど)に蒔き生し 夏の野の さ百合引き植ゑて 咲く花を 出で見るごとに 石竹花が その花妻に さ百合花 後も逢はむと 慰むる 心し無くは 天離(あまざか)る 鄙(ひな)に一日も あるべくもあれや (巻18・4113)
任命されて都から遠く離れた越の国で五年間、柔らかな手枕をすることもなく、紐も解かぬ丸寝をしていると、心もうっとおしく、なでしこや百合を庭に咲かせて、なでしこのような妻を思い浮かべて、百合のごとく後に逢おうと心を慰める。そうでなくてこんなに都から離れた田舎に1日とていられるものか。
反歌二首(のうち一首)
石竹花が 花見るごとに 少女らが 笑まひのにほひ 思ほゆるかも (巻18・4114)
なでしこの花を見るたびに、少女(妻)の笑顔の美しさが思われるよ。(少女らの「ら」は親の表現・「にほひ」は輝きだす美しさ)
(この妻とは大伴坂上大嬢・・・笠郎女たちのことでは勿論ありません。のちに大嬢も越の国にやってきます。)
番組はテレビ番組らしく、くるくると転換していきます。撫子の花の種類を紹介。「イセナデシコ(江戸時代に登場)」「ビジョナデシコ(ヨーロッパで品種改良)」「初恋(四季咲き、丈夫で初心者にオススメ)」どれも魅力的です。
撫子を植えるには山野草用土が適切〜〜そうなんだ。これまでに私も何度か撫子を買い植えましたが、それは知りませんでした。できるだけ水はけの良い土を使うことが大事なのですね。市販の草花用土で売られているものも山野草用土を混ぜて植え替えた方が良いそうです。家持君と同じようにタネから植えることも推奨されていました。簡単だそうです。いいですね。
撫子は「今でも日本女性の優しさや美しさを伝えています。」とのナレーションで終わりましたが、できたらそこに「強さ」も付け加えて欲しかったですね。撫子は強い花でもあります。また万葉の女性たちも間違いなく強かったと思います。そして女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」も、折れない強い精神力で活躍しています。
2020.10.11(日) テレビは続けて、沢村貞子さんの茄子のはさみ揚げ、日曜美術館〜高度経済成長の時代に北海道開拓農家の誇りを持ち描き続け32歳で早逝した画家「神田日勝」へと進んでいきます。どれも興味深い内容、もう一度ビデオで見直します。