manabimon(まなびもん)

ねほりんぱほりん 児童相談所職員

 

 

NHK「ねほりんはぽりん」モグラになったYOUと山里亮太が、顔出しNGのゲストから赤裸々な話を掘り出す・・・大人気ですね。今回(2月10日)のゲストは「児童相談所職員」。私は録画しておいたのを今日見ました。https://www.nhk.jp/p/nehorin/ts/N1G2WK6QW5/

「大変そうなお仕事だなあ」「この手の相談多いでしょう」司会の二人。「はい。電話がかかりっぱなしで、机の上が鯉のぼりの鱗みたいになっています。皆電話応対しているので回線が一杯で電話がなかなかできません。でも携帯などの個人情報を伝えると24時間かかってくるので教えられないのです。そもそも児童相談所は虐待の相談を受けているだけではなく、18歳未満の子どものあらゆる相談を受け付けています。夫婦喧嘩の対応もします。そこに子どもがいてそれを見ていることで心理的な影響を受けてしまうこともあるから。」

この仕事に就く人は、子どもを守りたいという気持ちが強い、若い職員たちはピュアに仕事に向き合っている。それなのに〜〜「電話が切れない」「大きな声で怒鳴られる」「死ねとかうざいとか、なんとか言ったらどうなの、とか、バカにしてんじゃないか、とか言われる」〜〜という中で心が折れていく・・・。

児童虐待の通告は1日10件以上。駆けつけてもなかなか家に入れてもらえない。粘りが必要。そんな時「児童相談所」と名乗る事はしないようにしている。セキュリティの強いマンションなどに入るのは大変・・「そういうところはお金持ちなんじゃないの?」・・お金があっても幸せとは限らない・・「そうだよねえ」。

「転んで怪我をしたのです」と保護者は言う。でもそれを信用できるかどうかは、相談員が子どもの様子を見ていればわかるといいます。

「赤ちゃんを椅子に縛り付けてご飯を食べさせている」という通報。訪問すると、お母さんの目に力がなくとても疲れた表情をしていたのでお母さんと話し合って子どもを預かった〜〜それなのに、その夜夫婦で乗り込んできて「うちの子どもをなんで連れて行ったのか」と机をバンバン叩いて怒鳴る!ということがある。でも、じっくり聞いているうちに、親と子どものことを思う気持ちを共有できたら(4・5時間かかることもざら)なんとか話し合うことができるようになる。そうなんです、時間をかけて繋がることが不可欠なのです。

「怒鳴られるのは何年やっていても辛いですね、子どもが守られるならば、と思うのでそれでいいと思えます。」ベテランならではの言葉。

「子どもを返した後も週一回くらいは家庭訪問をして最低半年くらいはフォローします。職員一人50人くらい担当することになってしまうと、職員のメンタルが持たない。外で愚痴ることもできないし、ストレス発散が難しい。」ストレス発散を上手にすることが職員さんにとっては必須。ストレス発散のプロにならなければならない。

「なぜこの仕事を選んだのですか?」〜〜「保育士の時、3歳の子が『あたしなんか車に轢かれて死んじゃえばいいんだ』と言った。びっくりしてよくよく聞くと虐待されていた・・・でもなかなか進まない」・・・「このような思いをしている子どもを救いたい」という思いから、相談業務の仕事に変わって12年たつそうです。そこで思ったことは「子どもだけでなく親御さんの事情も考えないと」ということだったそうです。でも、一時保護施設が圧倒的に足りない現状、傘の上でたくさんの皿を回している様なイメージ、そんな傘を何本も持っている様な・・・

たくさんの話し合いを経て、一時保護から次の措置を決めます。それがとても難しい。できることならば親元に返したい、けれど、本当に大丈夫なのか、再発のリスクはないのか。何回も面接をして親自身の虐待が判明し、それに対して一緒に対応を考える。例えば子どもに渡す絵本づくりを通じて、親の子への気持ちを見つめ直す機会にし、その絵本を一緒に読んでいく中で子どもが親と一緒に暮らしたいと思うようになる。そのように、手を尽くして子どもを家に戻しても、全てうまくいくとは限りません。想定外のことが起きて子どもの安全が脅かされることは起きうるのです。

「虐待が起きると児童相談所は真っ先に叩かれるよね」〜「そういう対応にもまた追われることになるのです」〜「残業ハンパないでしょう」〜「7時8時から面接も多くあるのです」〜「人を増やさないとね」〜「経験者がそんなにいるわけでもないし難しいのです」〜「寄り添いすぎると、責任取れるのあんた、ってなるでしょう」〜「そうなんです。ずっとそばにいてあげることはできない。自分だけに依存させてはいけない。」〜「年々虐待案件が増えちゃうとできないよね」〜「今どうしているかなあと思うことはあるけれど・・・ありがとうと言ってもらえたらとても嬉しい。それが最後の日になるのです。まだこの先どうなるかわからない、この家族を支える新しい人との出会いがありますように、と思いながら別れます。」

常勤の職員を増やして欲しい。これは、全ての児童相談所の強い願いではないでしょうか。いや児童相談所だけではなく、教育・福祉分野に関わる人々の強い願いです。「人件費節約」が錦の御旗のようになっている公共の施設を巡る現状について、発想の転換を図る必要があるのではないかと思います。

さて「ねほりんはぽりん」次回は「わが子を虐待した人」をアンコール放送です。そして来月「その後を知りたい人」特集にもこのゲストは登場するそうです。批判するのは簡単ですがどのような事情があるのか、そしてそういう親が変わり得る(変わり得ます!)のか、注目したいですね。

 

2021如月14日。バレンタインデー。暖かく良い天気でした。我が家の近くの白梅はほぼ満開、メジロなどの小鳥たちが沢山花の蜜を吸い、囀っていました。