manabimon(まなびもん)

本 時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。

昨年話題になった本。タイトルが秀逸ですね。本の帯には「私激昂。議員号泣。建前なしの政治問答365日」とあります。

2020年7月、この本の著者和田靜香さんは、映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」(2003年から17年間小川淳也さんを追いかけたノンフィクション)を見て、監督の大島新さんと小川淳也さんにインタビューしていました。(※AERA dot. 映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』で話題の小川淳也衆議院議員  涙で語った娘の一言「父が総理大臣になったら…」(前編)(後編))

「問われているのは私たち有権者の方だ」という映画の訴えていることについてモヤモヤ考えていた靜香さん、「自分が応援した選挙には必ず負ける、ツィッターやビラ配りを頑張っても実らないと、どうでも良くなる。落ち込んで絶望する。」というと、「落ち込んでもいいんですよ、そこでまた立ち上がれば」という答えが返ってきました。「有権者の側も自分の一票で一気に何かが変わるかもと思い込むと、実際はそんなことないので、あきらめやすくなるんです。」という淳也さんの言葉に靜香さんは「ガーン。その通りだ。私は自分の力を過信していたかもしれない。」と思うのです。

「自分の力を等身大で評価する」「あきらめない」という淳也さん。この時のインタビュー記事は高く評価されました。そして淳也さんの妻の明子さんんいもインタビューできたのです。「この人と自分はこれからもいっしょに生きていくと、自分が選択することになった。子ども2人も加わり、4人の選択になったんです」。この明子さんの言葉に対しての靜香さんの感想がいいです〜「あきらめないことを選ぶ人の影に、自分をあきらめる人がいたらイヤだ。その言葉が聞けて本当に良かった。」

2020年9月。安倍晋三首相が退陣した頃、靜香さんは淳也さんに「小川さんの話を伺って本を書きたい」と2度目の手紙を書きました。2020年11月「和田さんは何から聞きたい?」と聞く淳也さんに、靜香さんは「全くわからないんです」と答え、淳也さんの言葉を失わせます。その時に彼が提示したのが三冊の本でした。

「日本改革原案2050年成熟国家への道」小川淳也著(光文社)「あなた自身の社会・スウェーデンの中学教科書」アーネ・リンドクウィスト、ヤン・ウェステル、川上郁夫訳(新評論)「スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む」ヨーラン・スバネリッド、鈴木賢志他訳(新評論)。

(〜〜〜私はいつも思います。なぜ日本はアメリカの真似をして北欧の真似をしないのか?スウェーデンなど北欧の国では、人が人として生きていく上で、男女や年齢による差別が少なく、大変暮らしやすい、と感じます。勉強しようと思う人ならば、国籍を問わず、勿論性や年齢の違いにかかわらず、国が補助してくれ、一方で、子育てから年老いた後まで援助が充実しており、税金がきちんと国民の暮らしを守るために使われている。だから、高い税率でもみんな高いと思わない。そのような国を目指して発言している小川さんに対して、悪意を持った人はこのようにいいます。「ガキ理論」「左翼論」「エセ左翼崩れの新人世派」。京都大学の教授であり、またスウェーデンの大学で学んだことがある人が、このような言葉を使うことに驚きます。)https://www.mag2.com/p/news/523892

話を本に戻します。人口問題、税金問題、女性差別問題、移民問題、住宅問題、環境・エネルギー・原発問題、沖縄問題、など様々な切り口から、靜香さんは、淳也さんと、バトルを繰り広げます。二人とも真剣勝負。「分からないことは恥ずかしいことではない」のです。静香さんは「日本の問題が何か少し分かってきたら、別に何も変わっていないけど、不安がちょっと減ってきたと思う」と言い、それを聞いた淳也さんは「その言葉は希望だ」と、たいそう喜んだそうです。国の問題を政治家と一緒に考え、悩み、理解する人が一人でも増えれば、将来に向けて問題はほぼ解決したに等しい」と。

民主主義の根っこは「すべての人々が同じ価値を持っている」(スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む)こと。そして「お互いの価値を認めあう民主主義には労力と手間暇がかかる」(淳也さん談)。

(〜〜身近なところでも「話し合ったら時間がかかるから上の人に決めてもらいたい」という言葉をよく耳にします。それも若い人から、しかも瑣末なことで。何事においても話し合う必要のあることは、意見が半々に別れる事が多いです。そこを「上の人」に決めてもらうことは手っ取り早いかもしれませんが、大切なものを失うことにつながる可能性があることをきちんとわかっておく必要がある。話し合いに時間を割くのは無駄な面もありますが、自分たちを鍛え、互いを理解し合うために必要な面もある。)「手間とコストを惜しんではいけない、時間をかける」(淳也さん)必要があるのです。

この本の初版が2021年9月5日瞬く間に話題になり、発売前に増版が決まりました。靜香さんのまっすぐ前に進む力が発揮された結果ですが、本が出来上がるまで、何度もあきらめかけたと言います。でも「あきらめなければできるし、あきらめたら終わり。もちろんいろんな人に助けてもらって初めてできたものですけどね。」「不安をそのままにせず、不安を解決するよう、政治を考えることを続けたい。当事者として、あきらめることは、止める。」

この本にも取り上げられていますが、2018年、主に賃金や労働時間に関する「統計」を厚生労働省が不正に歪めて、安倍政権の目標の「賃金の上昇が果たせた」ように見せていた事が発覚し、問題になりました。さらに2013年安部政権になってから見直されたGDPの推計手法によって2015年のGDPは「31兆円、実質6%の成長が成し遂げられた」ように報告され、アベノミクス成功!となったことも明らかになります。当時の首相秘書官が厚生労働省に圧力をかけていた。しかしこのことで政治家は一人も処分されず、処分されたのは厚生労働省の22人。

今2022年1月、国会が開かれています。様々な統計に誤りがあったことが明らかになっています。一番重大な国交省の問題についてはこちらにまとめられています。(同じ題「今わかっていること」のyahoo!ニュースはなぜか削除されていました。)https://www.asahi.com/articles/ASQ1C6S6GPDXUTIL03F.html

この件でも処分されたのは国交省の役人です。

1月25日には、書き換えによる二重計上の影響で、20年度の統計が約4兆円過大になっていた疑いがあり、実績全体の5%に相当する事が判明しました。。これまで政府は「GDPにおける影響は軽微だ」としてきたのですが、統計がどれだけ過大だったか、その影響自体は国交省が検証中で結果はまだ出ていません。GDPをかさ上げして「成長」を演出していた主体は誰なのか?

政治家が本当に国民一人一人の幸福を考えているのか、それとも?・・・「『政治が悪いから、政治家のせいだ』と寝言のようにボヤいていた。」と和田靜香さん。(私も同じです。)「それは間違っていた。政治家のせいにしているうちは、政治家任せであり、何も変わらない。」だから「見えないように隠す政治」ではなく「都合の悪いことも見せて」ほしい。そうなるように注視していきたい。

「幸福について考えることに対して手抜きをしないこと」。この本を読んで心に刻みました。私は私のできるところで「その人の幸福は?」「自分の幸福は?」について考えて行動して行こうと思いました。すぐにフラフラして「そんなもんよ」とか「早く決めちゃいなさいよ」とか「どうせ無理だし」とか言っちゃいそうです・・が、そこでグッと踏ん張ろうと思います。

2022・1・27(水) 年末年始の休暇でこの本を一気に読むつもりでした。でも毎日の暮らしで精一杯だとなかなか本を読むこともできませんでした。「時間の余裕」を一人一人が持てるようにするためには、何もかも(子育てや介護を中心として)家庭任せにする政策は間違っている、と再認識。