manabimon(まなびもん)

本 ワンダー(WONDER)  〜人を見た目で判断したことはありますか〜

現在進行形のドラマ「ここは今から倫理です」(NHK総合金曜10時)の終わりに毎回主役の山田裕貴さんが問いかけます。https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/rinri/html_rinri_bbs.html

第一話「嫌われたくなくて、断れなかったことはありますか?」(あります。)第二話「“ヒマ”と“多忙”どっちが幸せですか?」(う〜ん。難しい。ヒマも多忙も過ぎたら嫌だし、全くなくても嫌だし、、、難しい。どっちか選ばないといけないとなると、うーん、うーん、うーん、ヒマだなあ。)第三話「見た目で判断したこと、されたことはありますか?」(どちらもあります。何回もあります。)(蛇足ですが、(  )は私のこたえです。)

「見た目で判断する」ということをできるだけ避けたい、と思っています。判断=好き嫌い=価値を一瞬に決めつける、ことはするまい、と思っています。実行できているかどうか・・・難しいです。

「ワンダー・君は太陽」という映画を教えてもらいました。まだ観れていませんが、先に、原作の本を読みました。(作 R・J・パラシオ 訳 中井はるの ほるぷ出版)https://www.holp-pub.co.jp/book/b485446.html

「ぼくの名前はオーガスト。オギーと呼ばれることもある。外見については説明しない。きみがどう説明したって、きっとそれよりひどいから。」生まれてから十歳までに27回も手術をしたせいで、学校に行かなかったオギー。十歳になって初めて学校に行くことになりました。

親切な友達候補を学校は前もってオギーと会わせ、オギーが学校に慣れやすいように、と配慮します。しかし、うわべの親切から内面の悪意が噴き出ることもあります。「なんでそんな顔になったんだ?火事かなんかにあったのか?」・・・しかし本物の親切もあります。「いいかげんだまってろ」「失礼よ」。ママは学校に行ってもいいし行かなくてもいいとオギーに言いましたが彼は学校に行くことを決意します。

ドキドキ緊張して学校に向かったオギーを迎えた国語のブラウン先生は、黒板いっぱいに書きます。「ブラウン先生の九月の格言 正しいことをするか、親切なことをするか、どちらかを選ぶときには、親切を選べ。」そして「これをノートに写してどういう意味なのか話し合い、月末にはその言葉がきみにとって何を意味するのか作文を書いてもらう。」と言います。オギーは学校が好きになれそうな気がします。

食堂でのランチ。オギーは一人です。みんなが自分を避けていると感じます。そこに「ここ空いている?」とやってきたサマー。彼女は「このテーブルを夏のテーブルにしよう」と提案し、「夏に関係のある名前の子しかここに座れないことにしよう」。ならば、「誰が座れる?」と二人で話し合います。ランチが終わった頃には二人はすっかり仲良くなっていました。

オギーはクラスメイトが自分の近くにいたがらないと感じていました。でもジャックは自分に親切で仲良くしてくれていると信じてもいました。誰よりもハロウィーンの仮装を楽しみにしていたオギーは、直前に仮装するものを変えたために誰からもオギーと知られることなく教室にいました。そこで衝撃的な言葉を聞いてしまいます。「もう絶対、学校なんて行くもんか」

話者はオギーの姉のヴィアに変わります。彼女は高校に入学し、ずっと仲良くしていた友達ミランダとなぜかわからないままに疎遠となってしまいます。ヴィアは弟のことを愛していますが、いつも弟のために全力投球の母に対して、満たされない思いを持っています。また遺伝的な問題があるから赤ちゃんを生まないとも決めています。そんなヴィアはオギーが「学校に行かない」と思う理由を聞いて「学校へもどって何事もなかったようにふるまうことね」と言います。一方オギーからミランダからの伝言を受け取り、ヴィアはとっても嬉しい気持ちになるのです。

・・・というように話者が次々と変わっていきます。

オギーとランチを食べ続けるサマー・・・「なんてったってオーガストはおもしろい。だからいっしょにいる。」

オギーの一番の友人ジャック・・・「例のペスト菌ごっこだな。仕返しだ。学年全員が僕の敵。・・・ほんと居心地悪いよ」オギー「ようこそ、ぼくの世界へ!」三人揃って大爆笑!

ヴィアの友達ミランダ「この世界は、オギー・ブルマンに優しくなかったの」ヴィアの恋人ジャスティン「いいのに当たるか悪いのに当たるかはでたらめに選ばれる。全ては運だというのか。考えるとめまいがしてくる。だけどそのとき、世界のやさしさに気づいてはっとした。・・・目に見えない方法で一番はかなげな生き物を守っている。・・・結局全部合わせて差し引きすると公平になる。この世界は小鳥たちをみんな大事にしている。」

オギー・・・「いつか天国に行って、だれももうぼくの顔のことを気にしないとしたら、どんな感じなんだろう。ちょうどデイジー(死んだ犬)がぼくの顔のことをまったく気にしなかったのと同じように。」

ミランダ・・・「ひさしぶりにオーガストに会えてどれだけ嬉しかったか。抱きつかれてどんなに幸せだったか。言葉にできないよ。」

ブラウン先生の六月、最後の、格言。「今をただ生きろ、太陽をつかめ!(ポリフォニック・スプリーより)

トゥシュマン先生・・・「親切という小さなことの価値を理解しよう。言いたいのはそれだけです。・・・必要とされる以上に親切にしよう・・・」

ママ「オギーはほんとうに奇跡。すばらしい奇跡。」

多くの人の言葉が、オギーの苦しみ、成長、絶望、喜び、を表現していきます。オギーだけでなく、その周りの人々一人一人の苦しみ、成長、絶望、喜び、も表現していきます。そうやって物語は膨らみ伸びやかにわたしたちにメッセージを伝えてくれます。人に親切にすることは偽善ではない。人は見た目で判断するべきではないのだ、中身を知るには時間が必要なのだ、だから人と触れ合い、話し合い、悩むことは素敵なことなんだ。

すばらしい物語でした。ぜひご一読ください!!!映画も名作とききます。早くみたいです。

2021/2/2(火) 124年ぶりの二月二日の節分の日。