『2025年2月28日の日本ペンクラブ言論表現委員会勉強会』をYouTubeで視聴しました。金平茂紀さんが司会、赤木雅子さんが前半の主ゲスト、後半に生越照幸弁護士が参加しての、赤木ファイルをめぐる問題についての勉強会でした。
赤木雅子さんの、飾らない、ざっくばらんな語り口、生越照幸弁護士の、丁寧で法に忠実であろうとする感情を抑えた語り口、どちらもとても魅力的でした。
興味深いお話がたくさんありましたが、一番印象に残ったのは、2022年7月7日の出来事についてです。その日、当時の明石市長・泉房穂さんに呼ばれて会いに行く途中の雅子さんは、三宮駅前で、安倍首相により、参議院議員通常選挙応援演説が行われていることを知ります。「これは行かねば」「泉さんに会っている場合ではない」と思った雅子さん、コンビニでレターセットを購入し、喫茶店で安倍首相宛の手紙をしたため、封筒に入れた手紙を持って、駅前広場に向かいました。
演説が終わると、思い切り手をふるおばちゃん(雅子さん)の方に、安倍首相は歩いてきました。そのおばちゃんが誰か、彼は知るはずもありませんでした(雅子さんはマスコミに顔を出していません)。「手紙書いてきました」と言うおばちゃんの手紙を受け取り(実際にはSPに取り上げられた)、ハイタッチをした首相が、その手紙を読んだかどうかは定かではありません。が、雅子さんは、安倍昭恵さんと当時ライン友達で、昭恵さんから「手紙を受け取った」と連絡がきたそうです。
翌日7月8日、奈良県奈良市の西大寺駅前において、統一教会(世界平和統一家庭連合)への恨みを持った男性により、銃撃され、安倍首相は亡くなりました。
「何か因縁めいたものを感じる」と雅子さんもおっしゃっていましたが、確かに不思議な縁を感じます。
もう一つ印象に残ったエピソード。夫の俊雄さんが自殺した後、赤木家には、多くの役人、官僚が、訪れました。そして、雅子さんに向かって話をするのですが、そこで彼女が強烈に感じたのは、「この中で私は一番下の位置にいるのだ」ということでした。
役人・官僚たちは、雅子さんの方を向かず、その中の一番偉い人の方を向き、その人の言うことに対して、いちいち、しきりに、うなづくのだそうです。誰も、雅子さんの言葉を聞いている様子は感じられなかったそうです。役人・官僚たちが、どこを向いて誰のために働いているのかが、明確に浮かび上がってくるエピソードです。
夫の俊夫さんが亡くなった翌日は「財務省で働きませんか?」と言われたそうです。経済的に補償するから黙っていろ、と言うことなのでしょうね。そして、弁護士も財務省が紹介しました。もちろん財務省よりの。
東京大学卒業でないと、(人間ではない)、と言う雰囲気を彼女は感じたと言います。雅子さんは高校卒業後、たくさんの仕事を経験してきました。俊夫さんは高校卒業後、国鉄に勤め、近畿財務局に転職し、その間に夜間大学を卒業しました。努力の人です。でも、東京大学の人たちにとっては何ほどのこともない、、、。
でも東京大学卒業でも変な人がいる。それが相澤冬樹(元NHK記者)さんで、今の弁護士さんを紹介してくれたのも相澤さんだそうです。友達になることができるような人が、理子さんにとって「良い人」で、今の弁護士生越照幸さんは、「友達」だそうです。
4年前(2022年)、雅子さんは、一連の捜査の過程で財務省が検察に任意で提出した文書を開示するよう求めましたが、財務省は文書の存否も明らかにせず、不開示とする決定をしました。その取り消しを求めて裁判を起こしましたが、1審の大阪地方裁判所は一昨年(2023年)9月、「文書が存在するかどうかを明らかにした場合、行政機関が捜査対象となる事件で捜査の内容などが推定され、将来の刑事事件の捜査に支障が及ぶおそれがある」として訴えを退け、雅子さんは上告していました。
今年(2025年)1月、大阪高等裁判所の牧賢二裁判長は、文書の存否も明らかにせず不開示とした決定は違法だと判断し、取り消しました。2019年8月に刑事告発された財務省の職員全員が不起訴となっていることを踏まえて「不開示の決定をした2021年の時点で、捜査に支障を及ぼすおそれがあるとはいえない」との判断でした。
これで「開示」が決定したのですが、「一筋縄でいかないのが財務省」と、生越弁護士は淡々と語ります。いつまで待てば開示されるのか、しかもその量はどうなのか(膨大な量の資料が開示されたら読み切るのに時間がかかる)、、、など心配は尽きません。これまでの行政の態度から、最悪の事態として、まっ黒に塗られた資料が開示される、、、こともあり得る。俊夫さんの、公務災害の認定資料ですらほぼ真黒だったそうです。
生越弁護士は、本来ならば立法府による、国政調査が行われることが理想なのだが、その気配は全くない、とも言っておられました。一体国会は何をしているのか、、、。
赤木雅子さんに対して、生越弁護士は、「強い圧力の中の大変な状況の中で生活しておられる、大したものだと思う」とコメント。敏子さん自身は「自分は人付き合いの悪いただのおばちゃんです」と言いつつも、田中真紀子さんから「あなたがこんなしぶといキャラだとは、財務省は思っていなかったよね」と言われた、とおっしゃっていました。そのしぶとさの支えは「夫から大事にされたこと、夫の愛」だと断言した雅子さんでした。
ビートルズを愛した生真面目な俊夫さんのまっすぐな愛を、まっすぐに受け止め続けている雅子さん、素敵なご夫婦です。
雅子さんは、顔を出して話したいと言う気持ちもあるそうです。でも今のSNSで起きている色々を見ると恐ろしくて顔を出すことはできないと、、、。金平さんも「出さないほうがいい」と言っておられました。金平さんご自身も色々嫌な目に遭っているのだろうな。
今日3月24日、このブログ(備忘録がわりでもあります)を書くにあたって、確認のためYouTubeを検索してみたのですが、「日本ペンクラブ言論表現委員会 赤木」と打ち込んでも画面が登場しませんでした。昨日見ることができたのは(何気なくです)、僥倖だったのか、と、不思議に思いました。
2025年3月24日 実桜(さくらんぼ)の花の便りが友人より送られてきました。美しいです。ソメイヨシノも秒読み段階かな。

さて、赤木ファイルについてよくわからない方は、以下の文章を読んでから、このねほりはほりHPをみてください。https://www.nhk.or.jp/politics/kotoba/62596.html
安倍元総理大臣が関与した、森友学園の小学校設立(昭恵夫人が副学園長)などにあたっての不正取引、について、安倍元総理大臣は2017年2月17日、「私や妻が関与していたら総理大臣も国会議員も辞める」と国会で答弁しました。2018年3月7日、その記録についての改竄を命じられた近畿財務局の赤木俊夫さんが、自殺しました。赤木さんが決裁文書改竄の経緯を克明に記したファイルを残していることがわかり、これを赤木ファイルと呼びます。
2018年財務省の内部調査報告書には、佐川宣寿財務省本省理財局長について、「一連の問題行為の全貌までを承知していたわけではないが、国有財産行政の責任者である本省理財局の局長であり、さらに、一連の問題行為が森友学園案件に関する自身の国会答弁との関係に起因していたことも踏まえれば、問題行為の全般について責任を免れるものではない」と書かれています。また会計監査院の調査においても違法性が認定されています。
しかし大阪検察庁特捜部は、2018年5月捜査対象とした38名全員を「不起訴処分」とします。この時、山本真千子特捜部長は不起訴としては異例の記者会見を行なっています。
2019年3月大阪第一検察審査会は「不起訴不当」を議決しました。その結果を受け、大阪検察庁特捜部は、2019年8月、再び全員を「不起訴処分」とし、これにより本事件の捜査は終結しました。
その後、赤木雅子さんは民事裁判で、国と佐川宣寿元財務省理財局長を提訴しました。その裁判の中でさまざまな事実が浮かび上がり、2021年6月、518ページの赤木ファイルが明らかになりました。しかし麻生太郎副総理兼財務大臣は、「再調査は行わない」と明言しました。
まだまだ事件について書くべきことは続きますが、ここまでで事件の概要はわかっていただけたかと思います。
『勉強会』においても語られていましたが、この事件に関与した、安倍側に立った人々は、皆出世したり、天下りしたりしています。そういうことが堂々と罷り通ることが、おかしなことだと思います。




