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天才画家「佐伯祐三」真贋事件の真実

この世は魑魅魍魎の住む怪しい世界・・・あちらもこちらも・・・

6月25日に閉幕した大阪中之島美術館開館1周年特別記念展「佐伯祐三ー自画像としての風景」https://nakka-art.jp/exhibition-post/saekiyuzo-2023/

行きました!大阪出身の画家で、若い頃から身近に感じていた画家で、その絵が・・・好き、と思っていました。今回の展覧会で、佐伯祐三の絵はやはり素晴らしい、と感じました。展覧会で気に入った絵を撮影できることが増えましたが今回も撮影できました。自分の古ぼけた携帯で撮影してもちっとも良い写真にはならないのですがそれでもなんだか嬉しいものです。

佐伯祐三についての一般的な説明はこの記事がわかりやすいのではないかと思います。https://artexhibition.jp/topics/news/20230501-AEJ1364526/

今回私は、展覧会に記されていた略歴に興味が湧きました。祐三自身というより、祐三のお兄さんである祐正(ゆうしょう)に強く惹かれたのです。佐伯祐三の結婚は兄の恋人大谷キクエの紹介がきっかけ、反対していた父が1920(大正9)年9月亡くなる前に兄弟ともの結婚を許し、11月祐三と米子は結婚しました。しかし、兄の恋人大谷キクエは9月に自殺してしまいます。理由も何もなく、淡々と書かれた年表に衝撃を受けました。

兄祐正はその後父の寺を受け継ぎ、「光徳寺善隣館」という福祉施設を作ります。祐三の渡欧にも同行したりと、祐三の画業のために力を尽くす一方、「善隣館」での、夜間裁縫塾、日曜学校、図書室、女子寮等の様々な活動を拡大していきます。しかし1945(昭和20)年空襲に遭い、善隣感は焼け、祐正はその時の怪我がもとで命を落とします。善隣館は戦後再建され、今に至ります。https://zenrinkan.org/info

祐正ってどんな人だったんだろう、という単純な興味からネットを検索すると、「佐伯祐三真贋事件」にぶつかり、「実はキクエは祐三の恋人、米子が祐正の恋人だった」とか「米子夫人が佐伯の絵の仕上げをしていた」「米子夫人が佐伯祐三と娘にヒ素を飲ませた」「荻須高徳と米子は恋人だった」などなどという記述に出会い、びっくり!!!することが続出しました。

何が本当で何が嘘なのか、今となってはわからないことが多い。ただ、事実として1994(平成6)年に、岩手県遠野市と福井県武生市に吉園周蔵氏の孫から佐伯祐三未公開作品を寄贈する旨が伝えられ、両市とも新しい美術館建設計画を立てていたが、真贋問題が生じ、まず遠野市が、のちに武生市も寄贈を断った、という経緯があります。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%BC%AF%E7%A5%90%E4%B8%89%E8%B4%8B%E4%BD%9C%E4%BA%8B%E4%BB%B6

それで、図書館から『天才画家「佐伯祐三」真贋事実の真実』落合莞爾著、を借りました。読むとさらにさらに驚きの事実が書かれていました。

また『天才佐伯祐三の真相』という落合さんのブログには、吉園周蔵氏の手記を元に、これまで知ることのできなかった佐伯祐三とその周辺の出来事が書かれています。

http://www.kishu-bunka.org/rogho/saeki/aaa.html

中之島美術館での佐伯祐三展ではこのような説については全く触れられていませんでした。また図書館で借りた佐伯祐三関係の本は、落合さんのもの以外は、今回の美術展主催関係の人々の著作ばかりだったので、もちろん、落合さんの説については全く触れられていません。佐伯祐三贋作事件についても全く触れられていませんでした。

美術界のことはよくわかりません。何が真実で何が真実でないのかはわからないのですが、吉園周蔵さんという人の存在を全く無視すること(詐欺師として?)はできないのではないか・・・と感じました。それは落合さんの書いたものに洗脳されているから?さてどうなのでしょうか?

人が何かを語るとき、それはその人の見た一面に過ぎず、他の人に話を聞いてみると同じ事柄が全く違う様相を見せることは多くあります。過去の出来事についても、まるで「事実」「常識」であるかのように語られてきたことが、切り口を変えると「事実」「常識」が変わるということは私たちは何度も経験しています。「佐伯祐三伝説」同様に「佐伯祐正伝説」についても別の光を当てると違う物語が必ず生まれるのだと思います。

というわけで、初めの関心からは少しそれた方向に行ってしまいましたが、佐伯祐三、祐正のきょうだいやその周りの人々の「出来事」についてはこれからも興味を持っていきたいと感じました。

2023年6月(7月2日記)

7月2日早朝万博記念公園観蓮会に行きました。老若男女たくさんの人が美しい蓮や睡蓮を楽しみ、撮影していました。蜜蜂やオニヤンマ、白鷺も飛んでいました。おたまじゃくしがプクプクと息継ぎに上がってきていました。この平和がいつまでも続いて欲しいと切に願います。

 

 

 

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たつこ
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今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねていまに至ります。

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