10月13日(金)高橋源一郎の【飛ぶ教室】のきょうのセンセイとして斎藤美奈子さんが出演。とても面白く聞きました。https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/gentobu/tak20231013.html
それで、斎藤美奈子さんの新著『出世と恋愛 近代文学で読む男と女』を図書館で借りようとしたら、当然ながらすぐには借りることができず・・・ちょうど図書館にあった『忖度しません』を借りて読みました。2020年9月20日刊行の本、今更ですが、今読んでも十分に面白く、世の中のあれこれについて、あれこれ考えさせられる、中身の濃い本でした。
まず、本の見返しにある、東京新聞「本音のコラム」2020年4月1日より、の、「続・裸の王様」が出色です。「私や王妃がパレードに関係したということになれば、それはもう間違いなく退位する」といった王様、役人達にパレード関係の文書を破棄か改ざんするよう命じた側近、彼らに対して呆れる少年や仕立て屋・・・。
なぜリベラルが負けるのか。国民がバカだといっている人たちに対して、斎藤さんは、痛烈な自己批判をぶつけます。ここで紹介されている、「リアル現実社会を生きている人と、バーチャル脳内観念世界で闘っている「リベラル」とが噛み合わないのは当たり前」と説く、『「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』(朝羽通明)は必読かもしれせん(まだ読めていません・・・私は「反戦・脱原発派」です)。https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068835/
先日、加計学園(岡山市)が、運営する千葉科学大学が赤字のため、公立大学学校法人化する要請を銚子市に出した、というニュースが流れました。すでに多額の税金を投入して設立した大学であり、地元は困惑しているといいます。https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20231116-OYT1T50106/
加計学園問題については、この本でも『加計問題を産んだ「国家戦略特区」のインチキ』という題で取り上げています。2017年以来、取りざたされていた、加計学園問題と森友学園問題は、今やすっかり忘れ去られた出来事となっています。次々と安倍首相の関与を裏付ける証拠が出てくるのに、まるでなかったことのように平気な顔をして皆が取り繕う・・・。ここで紹介されている、〈教育の自由化や特区という新たな行政システムを利用した権力の私物化、安倍をとりまく人間たちの政治と金にまつわる疑惑〉が問題の本質である、と看破する本『悪だくみー「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(森功)=大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞受賞作、も必読の書です。https://www.paburi.com/paburi/bin/product.asp?pfid=20012%2D122339086%2D001%2D001
加計学園が赤字の大学を銚子市に押し付けようとしていることは許されることなのでしょうか?
話は変わって「源氏物語」が最近話題になることが多いですね。来年の大河ドラマの主人公が紫式部だからですね。嬉しいことです。この本も源氏物語について言及しています。『本当は近代文学だった「源氏物語」』その通り!今私は、仲間たちと源氏物語の読書会を楽しんでいますが、紫式部の視点の細やかさ鋭さ辛辣さ、にいつも驚かされ、物語に登場する女性たちの持つ悲しみに深く共感するのです。「紫の上」は決して源氏を許さなかった、という視点は私たちには当たり前のものです。『源氏物語の教えーもし紫式部があなたの家庭教師だったら』(大塚ひかり)のような視点が大河ドラマにどれくらい描きこまれるか楽しみです。https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480689993/
きょう図書館で借りることができたのは、コラムの最後『彼らの勘違い、彼女の異議申立て』の終わりに紹介された「エトセトラ第2号特集WeLove田嶋陽子!」です。「女性ならではの感性、女性らしい繊細さで女は勝負しなさい。田嶋陽子みたいにガミガミと論理的な反論を振りかざす女はダメだからね。」というメディアの言説が、どれほど無意味で馬鹿馬鹿しいものか、逆転させる本として紹介されています。https://etcbooks.co.jp/book/vol2/
田嶋さんは今シャンソン歌手、書家として活躍されているそうです。「美意識が人を殺す」=「女は可愛くなければならない、思うままに発言してはならない」と田嶋さんは言います。特集の終わりに、柚木麻子が「私たちが立ち止まってしまう時、自分が間違っているのではないかと小さくなりかけた時、いつだってこちらから会いにいくことができる。そうすればなんだってわかりやすく、かつ正直に彼女の言葉で教えてくれるに違いない。あのおおらかな笑顔で両手を開いて田嶋陽子は私たちをずっとまっていてくれたのだ」と書いています。田嶋陽子万歳です。
それぞれのコラムの後に添えられた三冊の関係本を全部読むことは無理ですが、何冊か読むことで、思考停止から脱することができるような気がします。この本自身を読むのに二週間では足りず、貸出期間を延長しました。手元において永久保存したい気持ちもありますが・・・できるだけ新しいものは買わない生活を心がけています。
そうこうしているうちに、高橋源一郎の【飛ぶ教室】では新しい本、人の紹介がされていきますし、斎藤美奈子はどんどん文章を書いていきます。あの人たちは、どんな頭、どんな生活をしているのだろうと思いつつ、追いかけていきま〜す。
2023年11月27日(月)夜10時45分『映像の世紀バタフライエフェクト〜パリは燃えているか』がちょうど今終わりました。「フランスはやはりフランスだった」とハグし合う異人種の人々の姿にナレーターが語りました。・・・・「日本はやはり日本だった」という言葉はどのような映像に重なるのだろうか、と思いました。https://www.nhk.jp/p/butterfly/ts/9N81M92LXV/list/