2024年8月5日から7日まで、京都市立芸術大学のサマーアートスクールに参加しました。
https://www.kcua.ac.jp/general/summer-art-school/
友人から紹介してもらい、「染色」講座に孫を誘ってみましたが「興味ない」とのこと。去年は誘った別の大学の講座(お薬作りでした)についてきてくれましたが、もはやババ離れのお年頃、蜜月は短し、です。
さて、それならば、自分のために〜伝統日本絵画技法「絹本画に親しむ」〜。日本画、ずっと憧れてはいたのですが、いろいろ大変そう〜と、今まで手をつけたことはなく、全くの初心者。絹本画と言われても、今ひとつイメージがわかないまま、しかし、墨と硯とお皿と紙コップと雑巾を用意すればいい、という、大らかさに、いそいそと出かけました。
移転したばかりの新校舎はJR京都駅からすぐ(6分)でストレスなし、、、のはずなのに、方向音痴の私は迷ってしまい、汗だく 、、、やっと、美しい校舎に到着。
この先はめくるめく楽しい時間が待っていました。この講座の主催は、美術研究科保存修復専攻の宇野茂男先生。院生4人がアシストしてくれます。先生のあたたかい人柄が滲みでるフレンドリーな院生たちとのやりとりで、緊張がほぐれます。
「『日本画』と『日本絵画』は違う」〜いきなり目から鱗です。明治以降、西洋から入ってきた絵画と区別するために『日本画』という呼称が使われました。それまでの伝統的な、岩絵具や膠、絹本や和紙、を使った『日本絵画』から変化して、さまざまな材料を用いて現在に至るのが『日本画』と分けて考えるということです。
今回私たちが経験するのは『日本絵画』、ということで、枠に貼った絹本を既に手作りして用意してくださっていました。その上で、絹本について、絹本の下準備について、日本絵画の絵具について、の講義を院生の皆さんが丁寧に行なってくださいました。質問が活発に飛び交う教室の雰囲気も楽しい。
今回私たちが挑戦するのは、伊藤若冲の「動植綵絵」から、「薔薇小禽(ばらしょうきん)図」「菊花流水(きっかりゅうすい)図」「南天雄鶏(なんてんゆうけい)図」の一部を院生たちがアレンジしてくれたお手本(下の写真)の真似です。
ということで、「伊藤若冲と動植綵絵について」の講義も聴きました。充実した内容に、院生の皆さんがここに向けて使ってくださった時間と手間暇を考えると、「感謝」の一念。
昼休みは5階の休憩スペースを利用させてくださいました。畳敷きの素敵なスペースです。そして図書館では、今回の講義に合わせた参考図書をわざわざ用意してくださって閲覧させてくださいました(写真は5階から覗いた図書館です)。
午後からは選択した作品毎にグループに分かれて実習開始です。どの絵にするか迷いに迷って、シンプルそうな「南天雄鶏図」を選びました。一番人気は「菊花流水図」、渋いな、経験者が多いのだなあ、と感じました。
絵具や墨の濃さや、どのくらい筆に含ませるか、など、何もかもわからないことだらけですがやるっきゃない、、、先生!先生!と頼ってばかりいる間に、あっという間に終了時間16時となりました。あと2日で本当にできるのか、、、と不安を抱えながら帰宅。
2日目は「胡粉」について講義と作り方の実演です。
手間暇かかる作業ですが、先生は、手早く簡単(そう)に進めていきます。写真も動画もOKという太っ腹。
そしてまた実習へと入っていきます。2日目の終わりでこんな感じです。
2日目は友人のお孫さんが「染色」に参加しはりました。自由に色を楽しんでいる様子をうちの孫に伝えると「行けばよかったなあ」だって(笑)。
最終日。講義は白緑(びゃくろく)の色味の作り方。
そして実習は、肝となる「鳥」の色付け、白緑を使っての葉脈入れ、南天を南天たらしめる黒いぽつ入れ。私はいずれも絵具や墨を濃く筆に含ませすぎてしまいました。
あっという間に時間が来て、皆さんどんどん帰っていかれます。おうちに持ち帰って仕上げて、また芸大に持参するのです(なんと、表装してくださるというのです!!!)。私は家に持ち帰っても、きちんと仕上げる自信がなかったので、ほぼ最後まで残ってなんとか仕上げて作品を置いてきました。それで写真を撮り忘れました。
南天組は割と遅くまで残っている方が多く、これまで実習に夢中であまりおしゃべりしていなかった方々と、先生を介してお話しすることができたのも、嬉しかったです。一期一会、それぞれの思い、背景を持ってこの会に参加されておられる皆さんとの会話も楽しい。
「来年も参加したいです」という声があちらこちらから聞こえました。私も同感(抽選厳しくなりそうです)。お忙しいお仕事や研究の中、多大な手間暇をかけて私たちを迎えてくださった、宇野先生はじめスタッフの皆さんに感謝!!
2024年8月 5日から7日の三日間は、酷暑で大気が不安定となり、京都も大阪も急な雨や雷に翻弄されました。幸い私は雨や雷に遭うことなく機嫌よく行き来することができました。日頃の行いが良いからということにしておきましょう。
追記)10月半ば、裏打ちされた作品が作品が帰ってきました。嬉しいです。宇野先生、および大学院生の皆様本当にありがとうございました。