体質改善

胃・喜びを生み出す臓器〜ヒューマニエンス

ヒューマニエンス、今回の主役は「胃」です。https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/trailer.html?i=3554

兵庫医科大学、川西市立総合医療センターの三輪洋人さんが、「胃」について、紐解いてくださいます。ゲストは前立腺癌を克服した宮本亜門さん(余談ですがTwitterによると、宮本さんのところにも安倍首相国葬の招待状が届いたそうです。宮本さんは国葬反対なので欠席の返事をしたけれどなんで僕のところに招待??と呟いておられました)。

肝臓の手前にある胃。筋肉と粘膜の2層構造になっています。その動きをコントロールしているのが神経、胃に起こっていることが脳に伝わるのです。胃のぜん動運動はとても早く強く動きます。胃は年を取らない・・・胃を取り出してその人の胃が何歳かを当てるのはとても難しいそうです。胃の粘膜は日々更新されているので、胃は常に新しいものになっているのかもしれないそうです。

胃は喜びの臓器とも言います。通算ホームラン世界一の王貞治さんは、胃がん治療のため胃を全摘、翌年監督として復帰しました。胃を摘出しても十二指腸と小腸を繋ぐことで小腸の一部が胃の代役をはたします。人は胃がなくても生きてはいけます。

しかし胃を摘出するとある大きなもの=食事の喜びが失われ、時間がきたから食べなきゃいけない、という風になるのです。その原因は1999年に発見された「グレリン」9割以上が胃で作られるホルモンで、摂食を司るだけでなく、食事に伴う喜びを司ります。胃の切除によりグレリンが作られなくなり、欠乏すると食事の喜びがなくなるのです(宮崎大学中里雅光さん)。食事前、胃が空腹になると、グレリンが作られ、脳の接触中枢と、脳の報酬系に働きかけ、食事をとることを促し、それを喜びと感じるのです。胃でグレリンが作られることを1999年に発見したのは寒川賢治・中川雅光先生のグループでした(それまでは脳で作られていると考えられていました)。

味覚と食欲は少し違うと考えたほうがよいそうです。グレリンを失うと人は食事の喜びを失うのです。グレリンについては元々は、成長ホルモンを分泌させる作用に注目が集まっていました。血流に乗って全身をめぐり、筋力をつける働きもあるのです。

大食いの人=フードファイターの胃が大きく膨らむことについてはよくわかっていないそうです。普通の人の胃は2リッターが限度。でも、甘いものは別腹〜というのは医学的に説明できるそうです。美味しいというホルモン(グレリンやオレキシンなど)が摂食中枢を刺激し、同時に、胃が膨らむということがわかっています。食欲をうまくコントロールする薬は世界中の研究者の夢ですが、難しい。食欲を抑えることは難しい。でも、グレリンをある程度用いて胃がんに罹患した人の食欲を増進する治療は実際に行われているそうです。

胃が人類に時間を分け与えてくれた・・・東京大学遠藤秀紀さん、胃袋は進化的には比較的浅い歴史なのだと言います。胃の形は進化の歴史とともに変化してきました。たとえば鳥は第二の胃袋を持っています。また、200リットルに近い巨大な胃袋の持ち主は牛。ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ、の四つの場所を使い、栄養源の少ない草から徹底的に栄養分を摂取しています。胃は動物にとっての生存戦力そのもの。雑食である人の胃は、握りこぶし二つほどの大きさ、強い胃酸を持つのが特徴です。他の動物と比べてもとりわけ強力な胃酸を持っているのは雑食だったから、毒を持ったものを口に入れる可能性が高かったからだそうです。そして「胃を持つことによって、食べ続ける必要がなくなり、人間は時間を分けた」と遠藤さん。胃という餌を貯める臓器を持ったことで常に食べ続ける必要がなくなり、食べる時間とそうでない時間=学ぶ時間=文化を生み出す時間、を持つことができるようになったのです。胃のおかげで人類は豊かな時間を持つようになったのです。

胃酸が強いから、なんでも食べることが出来、人は生き残ることができた。でも、胃の酸性度はこんなに高くて大丈夫なのか?大丈夫なんです。胃の粘液のシステムはすごいんです。とはいえ、現代人にとっては「胃酸」は強すぎる。元々体の小さい日本人は胃酸は強くなかった。しかし、日本人は1960年ごろから、脂質やタンパク質の摂取量が増え、胃酸が濃くなったのです。食道は胃酸には弱いのです。逆流性十二指腸炎は強すぎる胃酸によって誘発される病気です。今胃酸は強すぎる・・胃酸は退化する可能性もあるかもしれない。将来的には、あと何百年かすると、食に対する欲、必要性などが変わっていくのではないか・・・それで胃酸の濃さも変わってくるのではないか・・・と三輪先生。

あなたは吐いたことありますか?胃から物を出す行為には大切な理由があったのです。胃は食物を溜め込むことが出来る臓器=毒のある食べ物を吐き出すことが出来る。それだけでなく、蛇のように天敵に遭遇したときに体の中にあるものを吐き出して身を軽くして逃げ出すことも、私たちの祖先はしていたと考えられるのです。大舞台を前に感じる極度の緊張、大事な試験を前に感じる不快感、ストレスを感じた時の胃の不調、それはその名残。

自律神経が胃を支配しているので、不安があると胃が止まります。「機能性ディスペクシア」と言います。いつも胃の調子の悪くなる人は、いつもムカムカしているけれど吐くことができない。胃が動かなくなる。若い人は感じ方が敏感なので、不安やストレスによる痛みをすごく感じやすい。歳をとると、もたれる人が多い(胃のもたれ=いつまでも胃の中に物があるような気がする)。

なぜストレスを感じやすい人がいるのか。ラットを使った研究で、子どものラットを親から離して二週間おくことで(ストレスを与える)、その後、わずかな炎症が胃の中にあり(心の傷が消化管の炎症を引き出し)、その後ずっと炎症があり続けるのだそうです。どうすればこの炎症から逃れることが出来るのか?。自分をコントロールすることです、と三輪先生。機能性ディズペクシアは様々なアプローチで治すことができます。薬もありますが、自立神経をコントロール出来るヨガなどが注目されています。「考え方ですよね、ちょっと炎症があるだけですよね」と宮本亜門さん(笑)。

大分大学山岡吉生さん、世界一の、ピロリ菌(=地球上で唯一人の胃の中にだけ存在する細菌、40年前に発見、親子間で受け継がれる)コレクターです。山岡先生は、世界中からピロリ菌を集めて研究います。胃がんの9割はピロリ菌由来だといいます。ピロリ菌がいない人はほぼ胃がんにはならない・・・。

ピロリ菌が親から子に受け継がれることを利用すると、人類の歴史がわかる。山岡さんは大きく分けて7つのピロリ菌に分け、DNA解析で進化の系統を突き止めました。最古アフリカ南部で6万年くらい前に生まれたピロリ菌、アフリカを出て(=人類のグレートジャーニーと重なります)、ヨーロッパ、アジア、アメリカに広がっていきました。

アフリカ由来のピロリ菌が日本にたどり着いたのはおよそ1万年前。

日本では沖縄県で、胃がんになる人が圧倒的に少ないということがわかっています。フルーツを食べているから?実は、多くの日本人が持つピロリ菌のDNAと、沖縄の中の15パーセントの人が持つピロリ菌のDNAの違いから、驚くべきことがわかってきました。沖縄の人々が持つピロリ菌は4万年も前に遡ることができます。沖縄地域のピロリ菌はウズベキスタン、カザフスタン、アフガニスタン、あたりのものに近い。旧石器時代の湊川原人(1970年沖縄で見つかった人骨。現代の日本人とつながらないことがわかっている。2万年前まで生息し、絶滅した。おそらく中央アジアから来た)が持っていたであろうピロリ菌を、今の沖縄の人が持っているのだろうということがわかっているそうです。その経緯はこれから紐解かれることになるそうです。

1980年ごろまで、胃の病気の理由が全くわからなかった、それが、ピロリ菌の発見によって胃の病気が全てピロリ菌と繋がることがわかった。天地がひっくり返るような発見だった・・・ピロリ菌によって胃の粘膜が萎縮=老化するとピロリ菌はもはや住めなくなる・・・その状態は胃がん。人間の寿命が短かった時には、ピロリ菌によって胃がんになることはなかった。でも寿命が伸びたことにより胃がんになってしまうことになった。

除菌すると胃がんにならないと思って安心・・してはいけません。40歳を超えて除菌しても、ピロリ菌の影響は残るそうです。ピロリ菌は若いとき(20歳くらい)に除菌したほうがいいのです。でも「胃がんは検診さえ受けていれば絶対に死なない病気なんです」と三輪先生。これまでになく、スタジオが緊張し盛り上がったという今回でした。

宮本亜門さん「胃ってすごいですね。研究しがいがありますよね。」織田さん「次は何が知れるのか・・・まさか胃からグレートジャーニーに行くとは。」

今日も面白かった!

2022年9月13日(火) 今日はよく体を動かした1日で食欲も増しました。お腹が結構一杯になっているけれど・・・もう一つ甘いもの・・・食べられちゃうんですね(笑)、食べたら、途端に舌がザラつき出しました・・・寝る前のヨガ必須ですね。さて、私はピロリ菌の除菌は終わっていますが・・・40歳超えていました。気をつけよう。

さて、月と金星が綺麗に楽しめるここ数日です。昨夜は立待月でした。

今朝の西の空、有明の月。

今夜の月・・・願い事をしたくなります。

 

 

 

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たつこ
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今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねていまに至ります。

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