日本を学ぶ

記録映画)決断 運命を変えた3・11母子避難

2011年3月11日東日本大震災が発生し、福島第一原発事故が起こりました。

たくさんの放射能が放出され、これから一体どういうことになるのかわからない。日本から去った人も大勢います。東京でも放射線量が高くなり東京から去った人もかなりいました。福島原発により近いところに住む人々の不安は筆舌に尽くし難いものがあったに違いありません。

国からの避難指示は出ないまま、自主的に避難を決めた人たちもたくさんいました。当然のことだと思います。子どもを抱えた母親たちは、子どもが被曝することの恐ろしさに慄き、動きました。北海道へ、新潟へ、京都へ、大阪へ、沖縄へ、などなど。

映画の監督安孫子亘さんは、1988年から福島県知事となり、原発(プルサーマル計画)に反対したために、2006年汚職事件をでっちあげられ、逮捕され、辞任に追い込まれた佐藤栄佐久元福島県知事を描いたドキュメンタリー映画『「知事抹殺」の真実』の全国各地での上映会(2017年)で、全国に自主避難した人々と出会うことになりました。

その時に出会った人々の7年間を安孫子さんは記録します。大きな偏見や無理解に晒され、苦しい思いを抱えている多くの人々は、当然のことながら、記録の公表に難色を示します。その中から勇気ある10家族が今回の映画に登場します。映画に出て、素顔を晒すことによって、いわれのない批判や非難に晒される可能性があることを受けて立つ勇気ある人々です。

映画では、それぞれの家族を通して見えてくる「人ごと」でない現実を淡々と浮かび上がらせていきます。避難先での人間関係を作り上げていく強さ、さらに地域をよくしたいと考えて選挙に立候補する逞しさ、利他の精神。夫婦の絆を強めた人、離婚せざるを得なかった人。厳しい現実に体調を崩す人。13年の間の子どもたちの成長、悩み。

こんなに辛い思いをして、こんなに頑張っている人たちに対し、責任を最小限にしようと画策する国や東京電力を相手に訴訟が起こされました。東京電力と和解に踏み切った人もいます。「国」の責任を追求して訴訟を続ける人々には、2022年最高裁判決で国の責任を否定するという厳しい判決が降り、以後同種の裁判では同じ判断が続いています。

原発事故から13年が経ちました。「原発事故は放射性物質だけをばらまいたのではない。いろんなものをばらまいた。」事故は、いつ、誰を、襲うかわからないもの。これを人ごととしてはいけない、と強く思いました。とはいえ、映画をみて、考えて、さらに本を読むなどのことしかできない私です。佐藤栄佐久さんの「知事抹殺 作られた福島県汚職事件」を読み始めました。

5月22日には原発賠償京都訴訟第二審(大阪高等裁判所)が決審します。大阪訴訟では本人尋問が行われています。

深い闇に包まれている国の一面を認識することは大切なことだと思います。

4月22日(月)美しい桜(旭山桜)をいただきました。訴訟で桜が咲くことを願っています。

 

 

 

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たつこ
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今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねていまに至ります。

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