身体についての本

摂食障害・苦悩する当事者〜関西熱視線より

「摂食障害」(拒食症・過食嘔吐症・過食性障害)はやめたくてもやめることのできない病気です。本日のNHK関西熱視線でこの病気を取り上げていました。当事者の声、専門家の声がコンパクトにまとめられていました。

https://www4.nhk.or.jp/P2852/x/2021-03-13/21/46916/8207162/

患者の数は全国で約21万人、大阪府では全国で最多、近畿二府四県で5万人。数に上がらない潜在的な患者も多くいるということです。つまりとても身近な病気でもあるのですが、一方で多くの誤解を受けている病気です。今回多くの患者さんが症状を正しく知ってほしいとNHKの取材に応じてくださったそうです。

イトウさん。高校時代学校の成績が伸びなくて悩んでいた時、ダイエットすることで自分のがんばりを認めらたそうです。拒食が3年続いた後、発作的に過食の衝動が来ました。やめたくてもやめられない症状に、周囲は理解できません。拒食の時は「食べれば良い」過食の時は「食べすぎ」と言われ、家族の中にも衝突が生じ、両親も喧嘩、「あの子はモンスター」と泣かれた。自分では家族と仲良く食べたいと思うが食べられないことが辛い。

ホンジョウさん。自分に自信が持てず、痩せることで周囲に認められたいと、大学入学後にダイエットを始めたが、ストレスから過食症となり、大学生活がままならなくなり、病院に行きましたが、三ヶ月待ちだったり、保護者と一緒でなければならなかったり、と「どこに行ったらこの生活が終わるんやろ」と悩みました。3年が経ち、食べ物にお金を使う彼女は友達との買い物や旅行に行くこともできなくなってしまいました。色んなものを失い行き場のない当事者の思いを知ってもらいたくて、去年からネットで情報発信を行いました。そこで当事者同士の知り合いもできたけれど、激しい中傷に(だらしないから、意志が弱いから)晒されます。犯罪を犯しているように感じる人も多い。

拒食症は女性だけのものという偏見もあります。男性にも摂食障害の人はいます。女性以上に理解されない(精神科医にさえ)のでうつ状態に陥り自殺未遂を繰り返した男性が登場。

新型コロナの影響で、不安な中家を出ることもできず、過食やアルコール摂取を繰り返し、その度に「辛くて辛くて、何回も繰り返すたびに、死にたい、と思う」という女性も登場。

マツオさん。10代で拒食症を発症後、30年経つ。今30キロなく、医師からはいつ意識を失っても仕方ない状態だと言われるそうです。小学校の先生として子どもと接するのが生き甲斐という彼女は、外国語担当の先生として、学校で働く命を繋ぐために精一杯なんとか食べているそうです。

日本摂食障害の会理事長、内科医の鈴木まりさん。発症する方は、真面目で完璧主義で感じやすい方が多く、人生でストレスを抱えた時に痩せることで一抹の安心感を得たり、過食の最中だけ開放感を得る、という病気、つまり人生障がいと言える、とのことです。だから年齢や性別に関係なく発症するということです。治療法としては、拒食症は命に関わるのでまずは体重を増やすことを優先しそれから、過食症には抗うつ剤や認知行動療法(保険診療)が多く用いられるが、合う合わないがある、ということです。

摂食障害に関わる問題点5つ。①専門医や医療機関が少ない。摂食障害だけを診る支援センターは全国で4つしかない。診療の難しさや長さに見合う保険報酬が出ないので増えない。②根強い、わざとやっているという誤解や偏見。③本人に病気の自覚が持てない。④治療に抵抗感がある(他のストレス発散方法が見つからず症状を手離せない)。

兵庫県三田市で摂食障害の居場所づくりをしている元患者の竹口和香さん。「隠さなくて良いんだよ」と伝えたいと言います。「お金を使いすぎる、どうしてた?」と聞かれ、(自分は)カウンセラーさんと話し合って「週4日だったらコンビニに走っても良い」とルールをゆるめた。」と応じる竹口さん。「理解してもらえる感覚が違う」という女性は、一年の相談の後、今では病院に通い自助グループにも参加できるようになった、と言います。述べ200人以上の人と話し合ってきた竹口さんは、対話をつづけることで専門機関などと繋がるきっかけを与えられたら、と思っているそうです。

大阪市大の山口常生さん。摂食障害のアプリを作りました。患者と食事の様子や体調を共有することで患者の孤立を防ぐことができ、また遠隔の人ともつながることができ、また専門医でなくてもアプリを活用すれば支えることができる、と考えています。

鈴木真里さん。早期発見が大事な病気なので、患者を医療に繋げる、学校の先生や心理士などとの存在が大事で、正しい知識を伝える講習会が必要とのことです。専門医や医療機関が少ないという問題点に対しては声を大きくして国に働きかける必要があります。当事者本人だけの問題ではなく、長期化すると福祉の問題に繋がるので、この運動は大事だということです。周囲の人は、病気に苦しむ人の食べ方に注目するのではなくその人の苦しみに気づいてあげることが大事、「何か困ったことはないですか」「最近元気がないですが」という普通のあたたかなスタンスでの繰り返しの声かけが有効だということです。

あっという間27分の番組でした。最後に「いつでも気軽に相談できる場所があると良い」という投書がありました。当事者のみなさん、調べてみてください。必ず相談に乗ってくれるところは近くにあります。専門医ではなくても話を聞いてくれる人がいるということは大事です。電話でもメールでも直接でも、何回でも何人にでも、相談してください。

番組では当事者の声を募集していました。当事者の方・ご家族の方・関係者の方、声をどんどん番組に投稿してください。その行為がこの病気と闘うための大きな力になります。

3月12日(金)美しい歌声で世界を魅了したカレン・カーペンターが拒食症のために32歳で亡くなったのが1983年2月のこと。ショッキングなニュースでした。あれから28年が経ちます。このブログでも取り上げたノルウェーの写真家レネも拒食症のために亡くなりました。このような悲しみが少しでも減ることを心から願っています。

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たつこ
たつこ
今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねて今に至ります。心理し(士・師〜〜この二つの「し」の違いは何だろう?)です(臨床心理士・公認心理師)。喜びも多かった教員経験の中、一方で、えも言えぬ息苦しさも感じ、心理しの資格をとって、今は相談活動を行なっています。

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