9月12日(日)サッカーWEリーグが開幕しました。女子サッカーが新しい一歩を踏み出します。
「WEリーグ」は、昨季のなでしこ1部に所属した7チーム、同2部の2チーム、リーグの設立に伴って誕生した2チームの計11チームで構成されます。欧州と開催時期を合わせた秋春制で行われ、全11クラブが来年5月までホーム・アンド・アウェー方式による2回戦総当たりで争います。優勝賞金は男子のJ2と同じ2千万円。アマチュアとなった「なでしこリーグ」は上から2番目のカテゴリーとなります。
12日(日)午前10時キックオフのINAC神戸対大宮で始まりました。INAC神戸はなでしこ時代から澤穂希・川澄奈穂美などプロ契約・日本代表の選手を抱え、先駆的存在でした。一方の大宮は産声をあげたばかりの新生チーム11年独ワールドカップで澤や川澄を擁して世界一となった佐々木則夫監督が率います。
この試合に先立って、リーグの岡嶋喜久子チェア(代表理事)が挨拶しました。「日本の女子スポーツの新しいページが本日開きます。日本のジェンダー平等を前に進める。世界一の女子サッカーと世界一の女性コミュニティーの実現に向け、多様な生き方と夢が生まれる社会をめざし、みんなが主人公になるためにWEリーグがステージとなります。」
今日14日(火)、夜9時のニュースで、WEリーグの掲げる「多様な生き方を支える」という理念と、LGBT(性的マイノリティー)の選手の活動についての特集、そして元サッカーミャンバー代表のピエリアンアウンさんの記者会見についての報道、がありました。
WEリーグで、「性の多様性のアドバイザー」をつとめる「齋藤夕眞」さん、28歳。浦和レッドダイヤモンドレディーズやAC長野パルセイロレディーズなどに所属していた、元女子サッカー日本代表選手「齋藤あかね」さんです。現在はヴィアマテラス宮崎(素敵な名前ですね)の所属です。「自分を表現して生きているんだ、恥ずかしいことじゃないんだ、と捉えてもらえる発信になったらいいかな」「自分の意思を大事にしてほしい」と語ります。
彼女は、小学生の頃から性への違和感を抱き続けていました。所属する会社の女性用制服を着ることや女性らしい振る舞いを求められることに苦痛を感じ、地元埼玉のASエルフィン埼玉に所属していた2019年サッカーをやめました。「自分自身の気持ちに嘘をつきたくない」と、男性として生きる決意をして、ホルモン療法を行い、名前もあかねから夕眞(ゆうま)に変えました。長年感じてきた不安を解消でき、今年になって2年ぶりにサッカーに復帰できました。そして今年、WEリーグの理念に共感して、性的マイノリティであることを公表しました。「嘘なく生きていけてる自分が好き、嬉しい。」
下山田志帆さん26歳。スフィーダ世田谷のフォワード。彼女は自認する性とは異なり、毎月生理がくる自分に苦痛を感じていました。生理を意識しなくて済むように、ナプキンを使わなくて良い吸水性のあるメンズ仕様のボクサーパンツ、黒のかっこいいデザインのものを発案しました。クラウドファンディングで資金が600万円も集まりました。「(世の中には)自分が生きたいように生きたい、と考えている人が思っていたより多くいるんだということに改めて気づかされたように思いました。」
7色の旗を掲げるWEリーグ。岡島チェアは「性の多様性の理念を社会全体に広げて行きたい」「女子サッカー界は、LGBTQの選手たちが普通に仲間内で話していける自由な雰囲気がある、そこら辺から発信していくことで、自分が思ったように行きられる社会を目指す。企業も教育機関も他のスポーツ団体も巻き込んで大きな渦にしていきたい」と大きな理念を掲げます。
多くのマイノリティの人たちが互いに認め合う社会に近づけばいい、と、社会は少しずつ、でも確実に変わりつつあるのでしょう。
番組の続き、「難民」という究極のマイノリティの立場である元サッカーミャンマー代表のピエリアンアウン(ピャエ・リアン・アウン)さんの、Y.S.C.C.横浜フットサル入団の記者会見の様子が、短時間ですが映りました。「プレーを通して母国のことを多くの人に知ってもらいたい」というアウンさんのリーグでの活躍を祈ります。
2021・9・14(火) 庭の柿の実は早くも色づき始め鳥たちが狙っています。南天の実も赤くなり始めました。東京では金木犀がいい香りを漂わせているとか、大阪ではまだまだです。