1995年「アマミノクロウサギ・オオトラツグミ・アマミヤマシギ・ルリカケス」と奄美大島の住民の方々が原告となり、鹿児島県を相手取り、生息地への悪影響が懸念されていたゴルフ場計画の開発許可の取り消しを求め、提訴しました。
ゴルフ場建築について、これ以上の自然破壊を何とか食い 止めなければ、と地元民で議論を重ねていた中で、ある長老のため息混じりの一言がことの発端となったのだそうです。 「カシガレイ、イュウクトゥキカンバ、トリニディンウッタエラソヤ(こんなに まで言うことを聞かないなら、鳥にでも訴えさせようか)」。
原告側は「野生生物を含む生態系そのものに本来の姿で存在する権利がある」という「自然の権利」という概念を訴えました。アメリカでは野生動物を原告にした裁判例がりましたが、当時の日本では目新しい考え方で、大きな話題となりました。
地裁から訴状の訂正を求められ、「アマミノクロウサギこと●●」と代弁者となる住民の名前を付けて修正し、裁判は続きました。2001年の地裁判決は「却下」。しかし、裁判官は最後に「自然が人間のために存在する との考え方をこのまま推し進めてよいのかどうかについては、深刻な環境破壊が進行している現今において、国民の英知を集めて改めて検討すべき重要な課題というべきである」「原告らの提起した「自然の権利」という観念は、人(自然人)及び法人の個人的利益の救済を念頭に置いた 従来の現行法の枠組みのままで今後もよいのかどうかという極めて困難で、かつ、避けては通れない問題を我々に提起したということができる」とのコメントを述べました。
この訴訟については、マスコミが大きく取り上げ、国会議員に支持者があらわれたことで環境省や文化庁に圧力がかかり、各省庁に原告の主張を理解してくれる人が出てきました。そのうねりのなかで、土地の所有者が隠していたデータが暴露され、文化庁は土地の再調査を命じました。すると、アマミノクロウサギの住む巣穴がたくさん出てきたのです。アマミノクロウサギは国の天然記念物に指定され、文化財保護法により文化庁がアマミノクロウサギ保護のために調査を命じ、ゴルフ場開発が止まったのです。実質的には「原告勝訴」となりました。
この出来事は教科書にも掲載され、多くの人が「自然も人と同じように生存する権利を持つ」という考え方を持つようになりました。
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2003年沖縄辺野古地区に生息するジュゴンの保護を求める訴えが、アメリカ国防省を相手にアメリカ連邦裁判所に出され、これも大きな話題となりました。アメリカ連邦裁判所は原告の訴えを認め、『アメリカはジュゴンの保護に配慮するべき』となりました。しかし、その“配慮”の程度はアメリカ国防総省の裁量に委ねられてしまい、アメリカ政府は「自ら一定の調査もしたし、日本政府からアセスメント結果も得ている。これらの配慮は裁量権の範囲を逸脱しているとは言えない」と主張、残念ながら、現在も辺野古地区の埋め立て工事は継続されています。
さて、今回私はこの裁判の原告のアマミノクロウサギたちにぜひ会いたいと思って奄美大島にやってきました。奄美大島の魅力は固有種がたくさんいて、独特の自然が豊かに残っているところですね(2021年には世界自然遺産に登録されています)。朝出発の原生林ツアーと夜のナイトツアーに申し込み、楽しみました。
朝の金作原(きんさくばる)ツアー(アイランドサービス5000円)では、なんと!ハブに会いました。
ツアーコースの所々に赤いリボンが結わえてあります、これはハブがいたという印だそうです。ガイドさんは口を酸っぱくして草むらの繁みに足を踏み込まないように、と注意していました。ハブを踏んだりしたらえらいこと!
そして、なんと、歩いているすぐ横の枯葉の上にハブ(姫ハブ)発見。じっとして動きません。夜行性なので寝ているそうですが、万が一踏んづけたりしたらあっという間に噛まれて大変なことになるそうです。
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ハブによる被害を少なくするために輸入したマングースを放った結果、アマミノクロウサギはじめ地元の固有種が絶滅の危機に陥った・・・それでマングースを見つけたら報奨金を出すなどの対策を取り、奄美大島ではマングースはいなくなったと考えられているそうです。それで、ハブが増えるのは当然の結果・・・ということでハブは増えています。
友人がアマミハナサキガエルを見つけました。光る眼、わかりますか?ジャンプ力がすごい・・・2mも跳ぶそうです。
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ガイドさんの様々な動植物への説明に耳を傾けながらマイナスイオンをいっぱい吸って(実際にマイナスイオンが健康に良いかどうかは疑問があるそうですが、とにかく気持ちが良い空気をいっぱい吸って)歩いていくと太陽の光がさしてきて「天使の梯子」に出会うことが出来ました。
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映画のゴジラの撮影もされたというここ、奄美大島が北限になるというヒカゲヘゴ(シダ類)が大きく成長しています。
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私たちが歩く足音と、オオシマゼミの鳴き声・・・鳥はなかなか姿を表しません。
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ザトウムシ。『千と千尋の神隠し』の油屋のボイラー担当「釜爺」のモデルといわれます。
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ジョロウグモが網を張って獲物を取っていました。
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カゴメラン。10月には美しい花を咲かせます。
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イジュはとても硬い木で、建築材としては一級品なんだそうです。
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お茶や、食べ物を包むのに使われる、私たちにも馴染みの深い月桃。
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大きなクワズイモの葉
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約1時間半の気持ちの良い金作原原生林散歩でした。
そして夜のナイトツアー。19時に和瀬港に集合、静かな電気自動車で巡ります(奄美バギー&ナイトウォッチングガイドサービス7000円)。
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さあて何に出会えるかドキドキしながら車で山の中へ。アマミノクロウサギは、マングース撲滅作戦により、数を増やしているとのこと、きっと出会えますよ、と色々なお店の方から言われました。その通り、クロウサギちゃんに出会うことが出来ました。こちらにきてから剥製のクロウサギに出会うことがありましたが、やはり生きているクロウサギの可愛さといったら・・・想像以上にたくさんのクロウサギに会うことが出来ました。裁判を起こした結果こうやって割と簡単に会うことができるようになったんだなあ、と感慨ひとしお。
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ルリカケスは電線の上で寝ているところをガイドさんが見つけましたが、ライトの光に飛び立ってしまいました。でも帰り道、おそらく同じルリカケスが同じところで電線の上にいました。ただ暗くてその美しさがよくわからなかった。
リュウキュウコノハズクも鳴き声は聞こえましたが姿は見えず。まあ仕方ないですね。
星空も美しい・・・ただあっという間に雲に覆われてしまいます。
そんな闇夜をなんと蛍が飛んでいきました。キイロスジボタルという名です。シーズンラスト、ラッキーでした。
昼も出会ったアマミハナサキガエルも顔を出します。
そして世界最大の大きさを誇るオットンガエル、ガイドさん秘密の場所で出会いました。
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オットンガエルに見送られてナイトツアー終了です。
今回の旅では出会えなかったアカショウビンや、美しい色のルリカケスとは、次の機会に!とまたすぐ来れるような気持ちになるのですよね、旅の途中って。
2023年10月11日(水)朝のツアー参加は9月16日(土)、夜のツアー参加は17日(日)でした。
17日にはカヌーツアーに参加、水中観光船にも乗りました。どちらもとても美しい光景に出会うことが出来、気持ちよく楽しかったです。
アマミノクロウサギは幸い数を増やしていますが、沖縄のジュゴンは未だ絶滅の危機に瀕しています。ジュゴンの生息の跡を見つけることが出来ているので絶滅したのではない、ということはわかっているそうです。
昨日、ニュースで、沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、有識者らでつくる「普天間・辺野古問題を考える会」と「日本環境会議」が連名で、軟弱地盤改良工事の設計変更を不承認とした玉城デニー知事の姿勢を支持し、国土交通相に代執行手続きの中止を求める緊急声明を公表したことが報じられました。
「防衛省沖縄防衛局が提出した設計変更申請を不承認とした知事の判断は、公有水面埋立法が規定する環境保全や災害防止などの観点から極めて正当であり、国が、沖縄県および沖縄県民の総意を踏みにじることは到底許されない」という声明に私も賛同します。
![たつこ](https://manabimon.com/wp-content/uploads/2020/07/IMG_4263-scaled-e1611667607561-150x150.jpg)