日本を学ぶ

民博特別展「先住民の宝」・日曜美術館「アイヌ文様の秘密」

今日は陶芸のあと、国立民族学博物館特別展「先住民の宝」を見にいきました。

https://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/20200319takara/index

世界には、現在、70カ国以上の国々に約3億7000万人の先住民が暮らしており、その民族の数は少なくとも5000と言われているそうです。西欧列強の植民地化などにより、先住民は苦難の歴史を歩んできました。そして今もなお圧政や差別に苦しむ先住民が多くいます。この展覧会では九つの国や地域に暮らす先住民を取り上げ、紹介しています。それぞれの先住民達の持つ、文化、誇り、人の繋がり、祭り、儀礼、生活様式などを「宝」と捉えた展示となっています。

オーストラリア・アボリジニの神話体系「ドリーミング」、

マレーシア・オラン・アスリの「森の精霊達の木彫像・仮面」

台湾・タオの「漁にでる船を浮かべる儀礼」、

ネパール・アーディバーシーの「戦略的に分けられた先住民たち」、

グアテマラ・マヤの「手織り文化と知的文化保護運動」、

アフリカ・サン、ソマリの「ロック芸術やトランスダンスとラクダの牧畜化」、

カナダ・北西海岸先住民の「儀礼と銅板紋章と版画」、

北欧・サーミの「国による分断を乗り越える努力とナイフ」、

が紹介されていきます。

https://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/20200319takara/outline

そして、2Fでは、北海道〜千島列島〜樺太に暮らして来た日本の先住民アイヌが人気漫画「ゴールデンカムイ」に併せて紹介されています。

スタンプ集めも楽しかったです。

どの展示も興味深く面白かったです。それぞれの民族の持つ力はやはり彼らの持つ道具や着る服のデザインに現れています。今回、特に私が初めて知り、魅かれたのは、🇲🇾マレーシアのオラン・アスリの木彫でした。森羅万象に潜む精霊達を彫り出した像や仮面は力強く、また可愛らしく素晴らしいものでした。

さて、11月29日・朝の日曜美術館 https://www.nhk.jp/p/nichibi/ts/3PGYQN55NP/で「アイヌ文様の秘密〜カムイの里を行く」が放映されました。私は今日、録画していたものを観ました。ちょうど展覧会でアイヌの文化に触れた後だったのでさらに興味深く観ることができました。

北海道沙流郡平取町二風谷を、作家小野正嗣さんが訪れます。小野さんはアイヌ文様の秘密を探りたいとおっしゃっていました。まずは、アイヌの代々の儀式「チプサンケ」鮭を取るための船を進水する儀式に参加。アイヌの神カムイに酒を捧げ感謝の意を示す「カムイノミ」には様々なアイヌ文様で溢れています。

お神酒をつけるイクパスイhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%A4とお神酒を入れる器トゥキ、は不思議なアイヌ文様で彩られています。アイヌ文様は三つの文様が基本にあるそうです。渦巻き模様のモレウ(ゆっくり、曲がる)・星形模様のシク(目)・鋭く尖った文様のアイウシ(棘がある)。

山を歩く時もお神酒とイクパスイは必ずもっていき、イクパスイでお神酒をつけるのです。木彫です。当代一の彫り師貝澤さんは「小さい時から男はいい彫り物ができないと、女はいい刺繍ができないと、と育てられた」とおっしゃっています。子どもたちは囲炉裏の灰に文様を描いては消しを繰り返し、文様を身に付けてきたのでした。

アイヌは和人により迫害され同化政策のなかで文化を失っていきます。その中で、口伝えで伝承された唄を、お婆さんが子守唄のように聞かせてくれた唄を、歌い続けている木本さん。その歌声と、アイヌ文様の衣装がとても美しいです。

カムイの化身である獲物を獲り生活をする浦川さん。獲物を解体するナイフであるマキリは自らの手作りです。文様のモレウは川の流れの渦巻き模様だと浦川さんはおっしゃいます。鹿笛を聞かせてくれました。発情期になる鹿を呼ぶ笛。鹿だけでなく熊もやってくるそうです。森羅万象の命がアイヌ文様の源です。

アイヌ独特のアットゥシは、オヒョウの木の樹皮から繊維を取り、糸を一本一本紡ぎ出すという気の遠くなるような難しい作業を手際よく進める貝澤さん。機織りが上手だったのでお姑さんから褒められて育ったそうです。腰に機織りを巻きつけて織り続けます。「痛いのは生きている証拠」とあっさりおっしゃる貝澤さん。織りあがった布に、娘の真紀さんがおばあさん譲りの刺繍を施していきます。アイヌが木綿を手に入れたのは江戸時代、和人からだそうです。アットゥシに木綿の布を縫い付け、そこに無限に広がるアイヌ文様の刺繍を施します。

(→アイヌ文様のデザインは大人気のようです。)

https://www.pinterest.jp/piyosmade/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%8C%E5%88%BA%E7%B9%8D/

アイヌの過去を未来に繋ぐ人々と出会って、文化によって培われ、受け継がれてきた、美しいもの素晴らしいものは、理由なく人々の心に大切さを訴え続けてきたのだと感じた、という小野さんの言葉。今日見た多くの先住民の人々の作り出した「もの」の美しさも同じだな、と感じました。

民博「先住民の宝」は12月15日(火)までです。

日曜美術館再放送は12月6日(日)午後8時です。どちらもとってもオススメ!!

2020.12.1(早くも師走です、万博平和の薔薇園もまだまだ美しかったです。アンネフランクの思い出・・・

今日の十六夜の月もとても綺麗です。)

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たつこ
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今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねていまに至ります。

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