自分と向き合う技術

スープとイデオロギー

2023年1月21日(土)シネピピアで、映画「スーピとイデオロギー」https://soupandideology.jp/を観ました。

シネピピアは阪急宝塚線売布神社駅降りてすぐなので、電車に乗る時間は長くても歩く時間や人ごみのことを考えるととても良い立地条件にあります。しかも面白い映画が目白押しなのです。http://www.cinepipia.com/

この日も「土を喰らう人々」も上映されており、沢田研二が何かの男優賞を取ったとポスターの上に貼ってあったのにひかれて、危うくそちらに心移りしそうになりましたが、「いやいや今日は『スープとイデオロギー』を観にきたんだから」と自分に言い聞かせ、観始めたところ、予想を超える素晴らしい内容でした。しかもこの日夜、ETV特集で「オモニの島 わたしの故郷〜映画監督ヤン・ヨンヒ」が放映され、「そうだったのか・・・」とヤン・ヨンヒさん、やその家族の方々、朝鮮分断、について、しみじみ考えた一日となりました。

「オモニの島 わたしの故郷〜映画監督ヤン・ヨンヒ」は1月26日(木)午前0時(今日の深夜ですね)に再放送されます。

知識としては4・3事件のことを知っていたつもりでした。しかし何も知らなかったのだと痛感しました。

知らない土地・国である北朝鮮を強く支持し、朝鮮総連の活動家となり、家族を北朝鮮に送り、支援し続けたお父さんお母さんの生き様について、理解できなかったヨンヒさん。自分は何者なのか、を知るために、自分の家族の生き様をあらわにし続けて、2006年『ディア・ピョンヤン』https://www.youtube.com/watch?v=KPILRFQ6MME2011年『愛しきソナ』https://starsands.com/sona-movie/2012年『かぞくの国』https://www.youtube.com/watch?v=htGbRVJ1n2Iを発表し、反響を呼び成果をあげました。しかし、彼女は、その後10年間映画づくりができなかったと言います。

父の死後、借金をしてまで北朝鮮への仕送りを続ける母を理解できない彼女は、母と一緒にいるのは2日が限度だったといいます。しかしそんな彼女を支える素敵なパートナーができ、彼が鶴橋の家を訪問した頃から、彼女と母の関係は少しずつ変わって行くのです。母の作った料理は済州島の郷土料理、そして済州島の記憶を母は語り始めます。

大阪で生まれ、大阪空襲から逃れるために済州島に疎開し、そこで幸せに暮らしていた母は、1948年「済州4・3事件」に巻き込まれ、家族や恋人を失います。命からがら弟妹と共に大阪に密入国した記憶を封印し誰にも語ることなく、母は熱心な北朝鮮の支持者となります。そんな母の思いを、ヨンヒさんは少しずつ理解して行き、映画を作ります。

母は映画を観ることなく、2022年亡くなりました。映画は6月に公開され、大きな反響を呼びました。特に韓国ではロングランが続いているということです。

自分と向き合うために、覚悟を決めて家族と向き合い、北朝鮮からは入国禁止になりながらも(それは北朝鮮にすむ家族の危険にも繋がります)表現することをやめないヤンヨンヒさん、そしてそんな彼女をしっかりと支える荒井カオルさんの生き方は素晴らしいと思います。「覚悟」はなかなか決められるものではありません、それが自分の弱いところに繋がる時そこから目を背けたくなるものです。

まだ観ていない、他の三本の作品を観ようと思います。

2023年1月25日(水)日本全国が(朝鮮半島も)すっぽりと強い寒波に覆われています。JR大阪京都間は昼になっても止まったままです。

追記:スープとイデオロギー、十三の第七藝術劇場で1月28日(土)からアンコール上演です。http://www.nanagei.com/

 

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たつこ
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今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねていまに至ります。

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