身体についての本

本・食べることと出すこと

NHKラジオ番組「飛ぶ教室」11月6日(金)放送で、高橋源一郎さんが紹介してくださった本。

「食べることと出すこと」。

https://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=108713

著者の頭木弘樹さんは大学生の時に「潰瘍性大腸炎」〜指定難病〜にかかります。

最初の治療は「絶食」1ヶ月以上続き、その時自分の体調を客観的に冷静に見ることを自分に課したそうです。栄養は取っていても口から入れていない〜喉・顎・舌がそれぞれに動きたいと順繰りにあるいは同時に訴えてくる〜その状況の中で長い間絶食していると舌がどんどん鋭敏になっていくことを感じます。

絶食が終わった時ヨーグルトを恐る恐る口に入れた時、口の中で爆発が起きた、味の爆発、強烈な爆発が起きたそうです。その後舌がとても敏感になり、薄味で新鮮で質の良いものしか受け付けなくなったそうです。

「うまく生きることができない人間は、うまく食べられないのではないか。うまく食べられない人間は、うまく生きることが出来ないのではないのか」

と頭木さんは書いておられます。

それまで、

「自分がうまく食べられないことで他人との関係がうまくいかなくなるとは思ってもいなかった」

〜〜〜頭木さんは病気のせいでものが食べられなくなるのですが、周りの人は「これなら」と色々勧めてきます。彼はだんだん周りの人とのコミュニケーションに苦痛を感じ、それまでの自分自身も弱い人に対して、同じこと(無神経なこと)をしていたのではないか、と考えます。

貧しい国に行くと「思いの外明るい」と言いますが、頭木さんは、それは、貧しい中で強い人しか生きていけないから明るく見えるだけだ、そこには見えない人たちがたくさんいるはずだ〜〜と考えます。

難病の人たちも同様。いわゆる「マイノリティー」たちも同様です。

世の中の多くの人々は、「ふつう」と違うと、まるで「存在しない」かのように見過ごしてしまう。

「見えなくなりかけているものとしてぜひそういう人たちのことを想像してほしいと、願わずにはいられない」と頭木さんはおっしゃっています。

毎日の生活に紛れて、大切なものを見落としがちな私たちに対する警告を、過酷な運命に陥った人々は発してくれている、この本を読み、また、先日のレネ〜拒食を生き抜いた写真家〜を見て、強く感じました。頭木さんは、病気との闘いからカフカに出会い、カフカの新しい読み方の視点を私たちに提示して下さい、多くの人の共感を得ました。彼の活動に今後も注目していきたいです。

2020/11/8

 

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たつこ
たつこ
今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねて今に至ります。心理し(士・師〜〜この二つの「し」の違いは何だろう?)です(臨床心理士・公認心理師)。喜びも多かった教員経験の中、一方で、えも言えぬ息苦しさも感じ、心理しの資格をとって、今は相談活動を行なっています。

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