待っていました!ほんのミニコミブックマーク97号が届きました。
思い出の箱から〜では1987年5月31日に冠野和子さんが書いた文章が登場。伊勢英子さんの「カザルスへの旅」(理論社・現在は中公文庫が手に入ります)https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%82%B6%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%97%85-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%BC%8A%E5%8B%A2-%E8%8B%B1%E5%AD%90/dp/4122028701
「子育てと絵の仕事の日常に埋れてしまった」と感じた伊勢英子さん。建築家の夫が、その思いを理解し旅のスケジュール作りに徹夜で付き合ってくれ、彼女は旅に出ます。実家の母に「夫や子どもを置いて何が空気を入れに行くだ!何が魂の自由だ、ぜいたくでわがままだ」と罵られたそうです。
私事になりますが1987年春私もヨーロッパに旅しました。前年10月に長男を出産後、卵巣の腫れが見つかり、1月に手術、その時嚢腫でなく腫瘍だと言われ、しかし悪化の可能性は交通事故と同じくらいと言われて化学療法をしないと決めた後、家族から「行っておいで」と言われたのです。あの時皆は私の命が長くない、と思っていたのだな、とよく思い返します。しかしそれにしても生後6ヶ月余の子どもを置いて旅行、それも海外へ、を許してくれた家族には今も感謝しかありません。母乳を絞りながらの、その時の旅の記憶は鮮烈です。
「日常性に埋もれず、日々新しいことを知り自分を少しずつ作りかえて行くーー。私は伊勢英子のように海外へ旅立つ条件はないけれど、今の場所にいても、何かはできると思う。」と「カザルスへの旅」の読後感を書いた1939年生まれの冠野和子さん、旅をし本を出した1949年生まれの伊勢英子さん、それぞれの時代の背景があると思います。1959年生まれの私の置かれた環境は、彼女たちに比べたらずっと開けたものでした。がそのような環境を生かし切ることができなかったのではないか・・・。
「人は自ずと一番適した方法で魂の自由を表現していく。それがたまたま私には絵という表現手段であった。カザルスにはセロだった。」・・・魂の自由を表現する術を身につけるということは素晴らしいことですね。
今朝の朝ドラでは、主人公の夫貴司くんが短歌作りに行き詰まり、フランスに出かけて行きました。「子どももおるんやから」と反対する貴司くんの両親、2019年暮れの設定でした。コロナ禍の広がる直前貴司くんは出発しました。様々なことに縛られて魂の自由を表現することが難しいのはいつの世も同じで、その術の方向を見定めることができる人はなかなかいないのかもしれません。
今五味太郎さんの絵本を続けて読んでいます。昨日借りたのは「とんでやすんでかんがえて」。https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784033502809
最後の「もりへかえってあそんでいようっと」という言葉がしみじみ嬉しいです。術の方向が見定まるまでの時間は人それぞれなんでしょう。
「読んだ本・おすすめ本・これから読みたい本」にはまたまた魅力的な本が沢山。その中に自分の読んだ本を見つけると嬉しいです。しかもここで紹介した本なんかがあるとさらに嬉しい。例えば今回は通崎睦美さんの『天使突抜367』(淡交社)。
この本を読んだ後読んだ、『木琴デイズー平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』(講談社)や『天使突抜一丁目 着物と自転車と』(淡交社)なども紹介しておられて、全く知らない方を旧知の友達のように感じる喜び😆。
そして編集の文さんの「読書リスト」が。朴沙羅『ヘルシンキ 生活の練習』筑摩書房https://manabimon.com/book-helsinkiseikatunorensyu/
を見つけこれまた密かに大喜び。文さん流石すごい読書量&広い関心。今彼女は月刊『ヒューマンライツ』誌で「本の道草」連載中。https://blhrri.org/about/humanrights.html
この冊子の中に興味深い本がたくさんたくさん詰まっています。本好きにはたまりません。また文さんのブログ「乱読大魔王日記」にはたくさんの情報が詰まっています。楽しいです。
http://we23randoku.blog.fc2.com/
ここで出会った、伊勢さんの「人は自ずと一番適した方法で魂の自由を表現していく」という言葉を大事にしたいです。術はなかなか見つからないけれど自分の魂の自由を大事にする、そして相手の魂の自由も大事にすることのできる人になりたいです。
前回ほんのミニコミブックマークを紹介した記事はこちら。https://manabimon.com/honnnominikomibookmark/
2022年3月24日(金)彼岸が過ぎ、昨日の雨に打たれ、桜、チューリップなどの花が一気に開花しました。鳥たちがおもいおもいに囀る中での今朝の公園散歩・体操はことのほか楽しかったです。