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「コメントは差し控える」〜三菱自動車燃費偽装裁判判決後〜

5年前、三菱自動車工業が燃費データの偽装を公表したことを受けて、車の購入者が起こしていた集団訴訟で、大阪地方裁判所は、三菱自動車工業の賠償責任を認めなかった一方で、売買契約の取り消し理由になると判断し、販売店に対して購入代金の一部を返還するよう命じました。https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210129/2000040619.html

この判決に対して言いたいこともいろいろあるのですが、何より、ニュースの最後に触れられた、三菱自動車の「コメントは差し控える」という言葉に違和感と既視感を感じました。

三菱自動車は裁判で被告として原告に対し、様々な反論を行なったはずです。その内容をまとめコメントすることは、多くの利用者を持つ会社として当然のことではないでしょうか。それを「コメントは差し控える」と堂々としらを切る態度は、偽装について反省した企業として、あまりにも無責任、いかがか、と思います。

11月25日に「お応えを差し控えさせていただく」という首相の言葉の危うさについて書きました。https://manabimon.com/okotaewosasihikaesaseteitadaku/

立命館大学准教授桜井啓太さんが国会答弁での「お答えを差し控える」の国会答弁数をツイッターで随時あげておられます。桜井さんは「いつから国会はこんなに答えなくても許される場所になったのか?と思い作ってみた」と言っておられます。責任ある立場の人が堂々と「答えない」ことが蔓延することは本当に恐ろしいことだと感じます。twitter.com/…y/status/1355071162003283969

今回の三菱自動車の「コメント差し控え作戦」も首相のありようをコピーしたものと言えなくもないでしょう。

これまでにも「答え差し控え作戦」を展開してきた企業はあります。例えば関西電力。https://diamond.jp/articles/-/217421?page=2    例えば日本歯科医師連盟。https://mag.sendenkaigi.com/kouhou/201512/pr-risk-forefront/006639.php

いずれも厳しく世間から批判されてきたことです。

安倍政権以後の「答え差し控え作戦」が「成功している」とみなしているから、「批判されていない」と判断しているから、菅政権でもこの言葉が乱発され、また、それを真似る企業や人が増えるのでしょう。もっとも非教育的な事態だと思います。

2021.1.29(土)今日は寒い1日でした。

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たつこ
たつこ
今でも手元にある「長くつ下のピッピ」「やかまし村のこどもたち」が読書体験の原点。「ギャ〜!」と叫ぶほかない失敗をたび重ねて今に至ります。心理し(士・師〜〜この二つの「し」の違いは何だろう?)です(臨床心理士・公認心理師)。喜びも多かった教員経験の中、一方で、えも言えぬ息苦しさも感じ、心理しの資格をとって、今は相談活動を行なっています。
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